高齢者が家を借りれるのか否か 現場の話
家は購入派?賃貸派?損?得?
ブログやらYouTubeやらとにかく色んな媒体で見かける議論。
現状のまま人口減少やら賃貸物件建設が進むと、2040年にはあきらかに買うより借りた方が生涯居住費がかからないと言われている。
今回は高齢者が賃貸する実情がどうなのか、居住地の某地方都市の現場をお伝えする。あくまで現時点での私の周りの話だということをご了承ください。
結果をいうと、なかなか借りることができないという話。
高齢者が家を借りれるのか否か 現場の話
高齢者の賃貸仲介の流れ
賃貸管理の現場では、仲介業者と管理業者を兼ねているところが多い。
大手になると、仲介と管理を分けてはいるが、グループ会社だったりもするし。
一般的な賃貸仲介は「問い合わせ→内見→申込→審査→許可→契約(諸費用支払)」という流れになっている。
高齢者の申込者については審査にかける前に、大家さんに入居させてもいいか確認を取っている。確認を取ると大抵の場合ダメだって言われちゃうんです。
高齢者って何歳なの?という話だが、体感的に70歳前後位でしょうか。
今の高齢者は頭も体も元気な方が多いから、70歳だとまだまだという印象だよね?
でも住む場所って高齢者になるほど一旦住むと定住する。
入居時70歳前後なら大家さんから言わせると、亡くなるまで入居というイメージなのです。高齢者の亡くなるって孤独死のこと。
亡くなる=心理的瑕疵物件=家賃下がる=売ろうと思っても物件価格も下がる。
大きな借金して建てた&購入した物件が不良債権になってしまうというわけ。
孤独死じゃなくても、認知障害が始まってくると家賃を滞納したり、今まで物件をキレイに使ってくれていた方なのにゴミを溜め込んだりする。
高齢者特有のリスクを大家さんは背負うことになるからダメっていうんです。
大家さんってどんな人?
・地主で自前で建てた人
・不動産投資家
・副収入として所有
・相続で引き継いだ
こんな感じでしょうか。
不労所得と言われるだけあって、本業がありながらも所得を増やすために不動産オーナーになっている割合は高い。本業を頑張っているから余計な手間が発生したり、なるべくリスクが増えることはしたくないというのもわかります。
大家さんに管理業者から連絡がくるのは、入退去時、修繕、苦情の時くらいかな。
もちろん不動産をたくさん持っていて専業大家で忙しくしている方もいる。
希望がもてることもお伝えるする
賃貸不動産に積極的なスーパー大家さん
中にはこれから高齢者時代なのだからと、何かしらの生存確認が取れるならいいよと約束をして賃貸契約を結ぶ大家さんもいらっしゃる。
例えると
・宅配弁当を契約する
・セキュリティ会社と契約して毎日生存が確認できる機器を導入する。
・訪問介護の人が定期的にくる
・宅配牛乳(必ず目の前で渡す)を契約する
・定期連絡する
上記のように、頻繁に入居者と関わって元気なことが確認できたり、万が一の時はすばやく発見出来るなら物件にキズがつかない訳ですから。
こちらは不労所得といわれる不動産経営に、積極的に動いてくれる大家さんのパターン。さらに管理会社も協力してくれるというのが前提です。
管理業者が積極的なところもあり
大家さんを説得し、通常じゃやらない高齢者向けの業務を追加して、高齢者の入居OK物件を積極的に展開している管理業者もある。
高齢者が賃貸できる検索サイトの紹介
高齢者が賃貸することができる不動産業者がどこかを探すのも一苦労だと思う。
そこで、協力してくれる民間の物件を検索できるサイトを紹介。
平成29年4月に住宅セーフティネットが改正された。
住宅セーフティネットとは公営住宅の増加が見込めない中で、被災者、低所得者、高齢者、障害者、子育て世代などの住宅確保配慮者の入居を拒まない民間住宅の新たな登録制度になります。
こちらは登録されている 民間の住宅を検索するシステム。都道府県ごとに検索できます。物件自体は少ないけど、登録物件は大家さんが住宅確保配慮者に入居可で募集している。
ライフルホームズでは「FRIENDLY DOOR」というサイトを開設し、「外国籍」「LGNTQ」「生活保護受給者」「高齢者」の4つのカテゴリーから相談可能な不動産会社を検索することができます。
こちらのサイトはまだ新しいので充実されてはいないけれども、これから増えていくだろうと思っております。
最近多いなぁと思う高齢者の売買と賃貸がからむ相談
高齢者から最近立て続けに相談を受けている中身だが「築古の家の売買と賃貸」である。
築古の家を単身または夫婦で住むには広すぎるから売って、交通の便がいい賃貸に引っ越したい。年齢は70~80代が多い。
まだ元気だから、施設にも入居したくはない。
売買もからむから、お金も用意できる。
相談にくる高齢者はお金もあるし、元気だし、信用情報にキズがあるような人ではありません。相談にくるまで高齢者に貸してくれる大家さんがなかなかいないっていう現実を知らなかったためショックを受ける。
そして認知障害が始まってくると売買ができなくなることも知らないので、またショックを受ける(認知障害がある人を騙して財産を取られることを防ぐ目的から)。
売買できなくはないけど、別な手続きを伴って時間がかかる。
宅建兼FPなので、資産と生活希望を聞いた上で具体的な対策を提案した。
いくつかは実行できたけれども、相談したものはいいものの年齢的に大きな決断をする勇気が持てずそのまま停滞の方もいらっしゃる。
高齢者になっても賃貸を考えている方は、国の政策がもっと進んでくれることを願うか、ずっと住める家を確保する計画をオススメする。
こちら有名な本です。
賃貸で住み続けることの実録集みたいな本です。
私の宅建試験とFP1級実技試験の体験談
私が持ってる資格の中で、難しいと言われている宅建試験とFP1級の経験談を語ってみよう。
試験が近くなってきたからSNSでも話題になってますよね。
私の宅建試験とFP1級実技試験の体験談
どちらも申し込みも終了し、宅建の本番の試験は10月20日、FP1級実技試験は9月8日みたい。
宅建の経験談や勉強方法は色んな媒体に溢れているので、思い出してサラっとだけどこんな感じだった。
宅建の自分の勉強の仕方
7月31日ぎりぎりに申込をし、お盆休みの間に書籍をアマゾン購入して、勉強を開始したのはお盆明けだったような気がする。
実質勉強期間2カ月(多分150~200時間位?)だけど、夜は毎日、休日は起きてから夜までやってた。
学生の時から追い詰められないと勉強できなかったタイプなので。
購入したものはテキスト1冊、過去問題集1冊、模試集1冊。
購入したテキストは「らくらく宅建」シリーズ。
周囲の宅建所持者がみんなこれだったから悩むことなく「らくらく」買ってしまったという。
「らくらく」を1通り読んでから過去問→理解できない→テキスト→それでも理解できない→教えてグーグル先生かしこい人→最初に戻る。
つまづいたとこや注意するとこなど、テキストで説明しきれてないことをひたすらテキストに書き込んで、ノートは作らないスタイル。
ノートって作り始めるとキレイでわかりやすいノートを作ることに必死になっちゃう気がする。
宅建業法は暗記するだけ、税金関連も暗記、統計も最新調べて暗記。
ここまでを満点取れたら、問題の民法で4割取れれば受かるわという計算で勉強することにした。
勉強している人ならわかるとは思うけど、民法っていうか日本語が難しい!
法律用語はこなしてると理解できるんだけど、日本語が難しくて結局何言ってるのコレになってしまう。
「マンガ4択問題」ならわかるのに…と何十回も思ったことか。
過去問でこなすようになったら時間測りながら模試集から4回やって、点数取れない箇所チェックして本番へと挑む。
宅建本番の雰囲気と結果
試験会場は某大学で行って、私の居住地の試験人数は毎年1000人~1300人位で推移。
教室に入るまでに大学のホールで待機するのだけど、お隣の女性がそれはそれは作り込んだ大学ノートを4冊も開いていて、圧倒的な勉強不足感に襲われ不安になりまくる。こちらはヨレヨレのテキスト1冊なんですけど…。
時間になったので教室にぎゅうぎゅう詰めこまれて、筆記用具以外は床に荷物直置きを言われる。
隣の男性の回答スピードが速いのか、紙をめくるスピード音が気になり焦る。
私まだ1枚目なのにマヂかよ!という感じ。
全部埋めて(鉛筆は転がしませんでした)帰りの電車で宅建試験速報を眺めながら点数確認。36点取れたら大丈夫のラインは超えていたというか、ギリ36点でした!
晴れて宅建士の誕生です。
FP1級実技試験の内容と体験談
前のブログでFP1級の取得の仕方を説明しています。
私は金財ルートからの1級取得者です。
最新の合格率は8.45%で、実務経験者が受験資格要項の一つ。
実務経験者が8.45%しか受からないので難しい類の試験。
筆記試験をクリアすると実技試験がある。
実技試験というのは筆記で学んだ6分野を、対面面接式で問題に合わせた提案を口頭で述べるテストだ。
実技試験を受けるにあたり、私も受ける時に調べたんだけどあんまり情報がない。
当時はブログなんかも数人上げているだけでしたので、参考になれば。
テキストはこれしかない。「きんざいファイナンシャル・プランナーズ・センター」という金財公式テキスト。
実技試験の合格率は80%と言われていて、落ちるのはマレ。落ちた人も難しい筆記試験クリアしたわけだから、面接形式に頭真っ白状態で答えられなかったという感じだと思う。
受付をすませると大会議室みたいな場所に待機する。
大会議室ではテキスト類は見てもいいけど、スマホなどの通信機器は電源を落とす。
番号の低い順に20人づつ位呼び出され、小会議室で待機される。
自分の番15分前位に2人づつ小会議室の後ろに呼ばれ、壁を目の前にして初めて自分の試験問題の用紙1枚を渡される。
そう、問題は個人ごとに全部違うのだ。
15分で問題に対しての提案を作り上げなくてはいけない。
私の問題はなんと「生産緑地化と相続」。
問題みた瞬間、農地!農地かよ!!農地の税制ウロ覚えだよ!!!
まさかくると思ってなくて変な汗出てきたのを覚えている。
個人事業主セレブと会社経営セレブと不動産セレブと医療法人セレブならバッチリだったのに!!
上記の文章からわかると思うが、1級の実技とはお金がある人の資産相談業務の試験である。不動産、金融資産、事業承継、相続、税金を混ぜ合わせた提案をする試験。
ほぼあんなに勉強した年金と保険は関係ない。
その後1人づつ小部屋に呼び出され面接開始。
問題は回収されちゃうから記憶を頼りに思い起こすと、
「生産緑地化が〇年後にせまる農地。地主は年齢のこともあるし、農家を相続してくれる人もいない。相続人は子供3人。周囲の土地の利用状況、保険、自宅評価はこれくらい、土地の形はこんな感じという図。」
みたいな感じだった。
実技の試験問題はだいたいが相続税支払うお金が足りないという前提なので、お金を作り出すことと、資産があるならばその活用方法、各相続人への資産の分け方を提案する。
名前を呼ばれると3人面接官が座っている。さらに1人後ろにいる。後ろの人は受験者の名前を確認してたから金財スタッフなのかなと思っている。
座っている面接官の方々はFP技能士、税理士とからしい。
緊張して、何分やってたかわからないが、体感10分程度だと思う。
緊張する原因の1つが「違う提案はないですか」という面接官の連呼。
私が述べた提案は、農地を引き継ぐ人がいないことから買い取ってもらうか、農地を転用するのが前提として
・宅地にしてからの等価交換方式でマンションを建ててからの相続
・マンションを建てた場合の相続の分配の仕方
・アパートの建築
・土地の評価を考えた分筆
・贈与の活用
・相続税を確保するための保険の活用
・遺留分の計算
・開発業者が買取り
・自宅の評価が高いことの対策
「違う提案を」の連呼があったから、もっと色々述べたような気もするのだけど、記憶が薄れてしまいました。
とにかくこのパターンをやるとこうなりますよ。
このパターンならこんな感じと1個の結論を具体的に派生させる。
それを何パターンも口頭で面接官に答える。
相談人の希望や感情ものせられていて損得で提案するのではなく、相談人に添いながらもより有効な提案をしていく感じ。
合格率80%なので落ちることなく、めでたく1級FP技能士に合格しました。
試験合格の心得
勉強の仕方は人それぞれ、頭に入ってこないなら集中力が足りないか、勉強の仕方が合っていない。
環境も大切だ。私は家で勉強すると目の前のベッドに入りたくなるから主に外でやっていた。図書館や喫茶店、ファーストフード店に通った。
宅建に関しては、過去問こそ全てといっていいと思う。過去問やってれば受かる。
民法はどうしても理解できないことが出てきたら勉強するのをやめた。違う箇所で確実に1点を取ろう。
FP実技試験の勉強は面白い。バラバラに勉強していたFPの6分野がパーツのように組み合って資産を形成するのだ。その組み合わせは様々なパターンを形成し、より何が有効かわかる。2級までの試験はそんな実感は味わえないので、ぜひ1級を狙っていただきたい。
【空き家を撤去すると固定資産税が6倍は間違い】計算してみよう
空き家問題の大きなひとつに建物を撤去すると固定資産税が6倍高くなると言われていることがあると思う。
6倍と言われている原因と実際に計算して6倍なのかの検証をしてみよう。
計算すると6倍にはならないんだなこれが。
空き家問題をほけんROOMさんにて記事にしています。
【空き家を撤去すると固定資産税が6倍は間違い】計算してみよう
6倍っていう数字はどこからきているのか?まずは言われている原因について。
6倍っていうのは固定資産税の住宅用地の特例からきている
固定資産税は土地や家屋をもっているとかかってくる税金で1月1日付けで各自治体の固定資産税台帳に所有者として登録されている人に請求される。
課税標準額×1.4%(標準税率)=固定資産税額
税率は標準税率だから各自治体で異なる場合がある。
課税標準が土地で30万円、家屋で20万円に満たない場合は請求されない。
固定資産税と一緒に課税されるのが都市計画税。
原則市街化区域の土地建物の所有者に請求される。
市街化区域とはざっくりと、建物を建てていい区域。建物を建てていいところと建てちゃいけないとこは決まっていて、インフラを整備し、計画的に街並みを作るように定められているんですね。
課税標準額×0.3%=都市計画税額
こちらも税率は各自治体で異なる場合がある。
厳密には土地の計算には負担水準も計算式に入るのですが、負担水準を説明すると1時間はかかってしまいそうなので割愛。
住宅用地の固定資産税の特例とは
税率がわかったところで、「固定資産税の特例」を説明しよう。
簡単にいうと住宅が建っていると固定資産税が安くなっちゃう特例。
どのくらい安くなるのかは下記の図をご覧ください。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小規模住宅用地 | 住戸1戸につき200㎡まで | 課税標準×1/6 | 課税標準×1/3 | |||||
一般住宅用地 | 住戸1戸につき200㎡を超えた部分 | 課税標準×1/3 | 課税標準×2/3 |
出ました!この1/6!
これが6倍といわれている根拠。
200㎡=60.5坪で、この大きさに収まってしまう土地に住んでいる方は多いのではないでしょうか?住居のランニングコスト抑えたいなら200㎡に抑えるといいともいえる。
実際に6倍になるのか計算しよう
建物解体して更地にした場合の事例を上げて実際はどのくらい高くなるの?
自分で確認しながら計算するには毎年送られてくる課税明細書をみてみよう。
下記は東京都の課税明細書。
価格が固定資産税評価額で、固定課税標準額が軽減措置後の固定資産税課税標準額。
同じく、都市課税標準額が軽減措置後の都市計画税課税標準額。
事例を上げて計算してみよう。
更地にした方が売れるんじゃないかという想定で家の評価が低い感じで計算してみる。
◇事例
小規模住宅用地(200㎡以下)に建物がある場合において
土地180㎡の価格(=標準額)が2,000万円、家の評価額が400万円だったとして
土地の計算
住宅用地の軽減措置で2,000万円×1/6=3,333,333円(固定資産税課税標準額)
住宅用地の軽減措置で2,000万円×1/3=6,666,666円(都市計画税課税標準額)
3,333,333円×1.4%=46,666
6,666,666円×0.3%≒20,000
土地合計 66,666
※厳密には負担調整率がからむので課税明細書の「固定課税標準額」「都市課税標準額」に税率を掛けよう。
家の計算
(400万円×1.4%)+(400万円×0.3%)=68,000円
合計 約134,666円
事例の建物を撤去すると下記のとおり。
◇事例の建物を撤去した計算
土地の計算
建物を撤去すると非住宅用地になるから
2,000万円×70%=1,400万円(固定資産税&都市計画税課税標準額)
(1,400万円×1.4%)+(1,400万円×0.3%)=238,000円
建物は0円
合計 238,000円
確かに、土地だけ見ると4.2倍になってるけど、建物の固定資産税が0円になるから合計額だけいうと1.76倍位。
事例からわかる通り、固定資産税の支払額としては6倍にはならないことがわかるだろうか。
固定資産税の支払いが6倍にはならなかったけど高くはなるよね
高くなることは確かだっていうことはわかった。
更地にするには解体費用もかかるため、結局そのままにした方がいいんじゃない?と考えるのは申し訳ないが短期的な考え方。
例えば相続登記を色々な理由でしていない場合でほっといている場合、登記をしていなくとも共有状態になっている。共有状態ということはそれぞれに管理責任がある。
街中にある空き家をほっとくと、周囲に迷惑がかかりいずれは「特定空き家」に指定されることもありうる。
「特定空き家」に指定されるとどうなるのかというと、強制的に撤去されて、撤去費用を請求される。つまり税金で撤去されるわけだけど、税金を使ったということは払わないでいると財産の差押えが起こるわけで。
お金を回収される上で一番恐ろしい相手は国。
給与の差押も、いとも簡単にやられちゃう。
特定空き家まで指定されなくても、家の落下物で通行人がケガを負ったら?損害賠償請求されるかもしれない。
じゃあどうしたらいいだろうかという話なんだけど、売れる土地ならば早く売るのをオススメする。
なお、売る時の制度などは過去ブログにしております。
私、空き家相談員も登録しております。
配偶者居住権って節税できちゃうの?
前々回のブログで民法新設の配偶者居住権の仕組みを上げてみましたが、今回は気になるお金の話。税金や評価方法について上げてみる。
配偶者居住権の仕組みについては過去ブログのこちら。
結果からいうと、配偶者居住権は配偶者が死亡すると消滅するでのだから、一次相続時に故意に配偶者居住権を発生させて、配偶者の税額軽減で相続税を減免後二次相続で消滅させると配偶者居住権相当が額が節税できちゃうんじゃないか?と思う疑問を検証しよう。
配偶者居住権って節税できちゃうの?
相続税に関しては配偶者はとっても優遇されている理由
一次相続で節税するには配偶者の税額軽減を使うのがいい。でもそうすると二次相続の相続税が膨らんでしまう。
ちなみに一次相続とは、例えば夫死亡→妻と子への相続のこと。
二次相続は妻も死亡→子への相続のこと。
配偶者の税額軽減とは下記のいずれかまで金額まで相続財産を取得しても課税されないこと。
・課税価格合計額の配偶者の法定相続分
・1億6000万円
つまり、1憶6000万円までの遺産なら相続税払わなくていい(申告必須)。
これを使えば一次相続でがっつり節税できることがわかりますね?
ただデメリットとして家庭ごとにシミュレーションしないと確かなことは言えないけど、二次相続でがっぽり相続税が増える罠ができちゃう。
配偶者居住権の評価方法
配偶者居住権は建物に2つの権利と土地に2つの権利がつくことになる。
評価方法は下記の計算になる。
①配偶者居住権
建物の相続税評価額ー建物の相続税評価額×(残存耐用年数ー存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
②負担付建物の所有権
建物の時価―①
③敷地利用権
土地の相続税評価額ー土地の相続税評価額×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
④負担付敷地の所有権
土地の相続税評価額―③
配偶者居住権の具体例
なんのこっちゃわからないと思うので事例を上げる。
事例
80歳の妻が築30年の木造自宅を相続した。相続税評価額が建物1,000万円、土地3,000万円である。妻が終身の配偶者居住権を取得した。
・建物の残存耐用年数 3年(木造)→33年ー築30年 ※1
・配偶者の年齢に応じた存続年数 11年(平成30年発表厚生労働省簡易生命表) ※2
・利率3%、年数11年の複利現価率 0.722 ※3
※1 木造の残存耐用年数は22年(法定耐用年数)×1.5倍=33年
鉄筋コンクリの残存耐用年数は47年(法定耐用年数)×1.5倍=70年
※2 厚生労働省簡易生命表(余命)はhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/index.html
※3 国税庁複利表はhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/09_2.htm
①配偶者居住権
1000万円ー1000万円×(3年ー11年)/3年×0.722
=1000万円ー1000万円×0×0.722
=1000万円ー0円
=1000万円
②負担付建物の所有権
1000万円ー①=0円
③敷地利用権
3000万円ー3000万円×0.722=834万円
④負担付敷地の所有権
3000万円ー③=2166万円
上記の事例は一番ありそうな、「高齢な妻に相続発生して、長い年月住んだ自宅がある場合」のパターンです。
具体例からのポイント
・自宅の残存耐用年数が短ければ短いほど
・配偶者の平均余命が長いほど
配偶者が取得する居住権の割合は大きくなる=所有者の所有権の割合が少なくなる
結局節税できちゃうの?
まだ施行前なので現時点まで発表されていることだけを踏まえると、
・二次相続で配偶者居住権は消滅する
・消滅するっていうことは二次相続時相続税かからない
・一時相続で配偶者居住権の評価額に対して相続税はかかっているし、負担付所有権にも相続税はかかっている
・一時相続で申告して配偶者の税額控除を適用したならば配偶者は相続税を払わなくていい
ということは?配偶者居住権分は二次相続で払わなくていいのでは?
ということになってしまうね?
この制度穴あるわー。
このまま国税が黙ってるわけないわー。
と思ったしだいであります。
結論
施行されるまで節税できるかどうかわかりません!
民法改正「配偶者への居住用不動産の贈与」が使いやすくなった
民法改正で、いまいち使いにくかった婚姻期間が20年以上の配偶者への居住用不動産を贈与した場合の「贈与税の配偶者控除」ってどうなった?
を深堀してみる。
民法改正「配偶者への居住用不動産の贈与」が使いやすくなった
配偶者への居住用不動産の贈与とは
婚姻期間が20年以上の配偶者への居住用不動産や居住用不動産の購入資金を贈与した場合、2,000万円まで贈与税が課税されないこと。基礎控除も合わせると2,110万円課税されない。
適用要件とデメリットだったこと
適用要件
①婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与である。
②居住用不動産(土地、借地権、家屋)または、居住用不動産の購入資金の贈与である。
③この特例を使ったことがない(同一の配偶者からの贈与は一回こっきり)。
④居住用不動産は贈与と受けた年の翌年3月15日までに居住し、かつ、その後も居住する見込みである。
⑤購入資金の場合は、金銭を受けた年の翌年の3月15日までに居住用不動産の取得に充て、3月15日までに居住し、かつ、その後も居住する見込みである。
⑥配偶者控除の適用を受ける旨の贈与税の申告をすること。
適用要件を見ると、2,110万円まで控除されるのでとてもイイ制度に見えるでしょう。
配偶者居住権を使わずとも、この贈与制度使えば故人の遺志が反映されると思いがちだが、現行制度では大きな落とし穴があるのだ。
この特例で居住用不動産の贈与を行うと、相続開始時に持ち戻しになってしまうのである。
どういう意味かというと、相続財産の先渡しを行ったと扱われて、配偶者に加算されていたのである。
被相続人から生前に贈与を受けていたり、相続開始後に遺贈を受けたりと、特別に利益を受けていることを特別受益という。
相続財産の先渡しのイメージと改正後のイメージ
分かりにくいと思うので民法改正前後の計算で比べてみよう。
事案例
相続人 配偶者と子供2人(長男と長女)
婚姻期間 30年
遺産 自宅(被相続人の持ち分1/2)2,000万円(評価額)
その他遺産1,000万円
生前贈与 自宅(配偶者の持ち分1/2)2,000万円(評価額)
現行民法
配偶者の相続分→(遺産3,000万円+特別受益2,000万円)×法定相続1/2-生前贈与2,000万円=1,000万円
配偶者の最終的な取得分→上記計算の1,000万円+生前贈与2,000万円=3,000万円
改正法
配偶者の相続分→遺産3,000万円×法定相続分1/2=1,500万円
配偶者の最終的な取得分→上記計算の1,500万円+生前贈与2,000万円=3,500万円
改正後は上記計算のように居住用不動産に限っては、遺産の先渡しがあったものとして取り扱う必要がなくなる。(持ち戻し免除の意思表示推定規定)
この改正により、配偶者は故人の遺志を受けた贈与により自宅を手に入れることができる上に、特別受益になることもない。
ただし、贈与税は控除されるけど、登録免許税、不動産取得税は課税されるので注意が必要。
登録免許税=固定資産評価額の2%
不動産取得税=固定資産評価額の3%(令和3年3月31日まで)
配偶者への居住用不動産の贈与をする上で気を付けること
・店舗併用の場合、あくまで居住部分のみの贈与である。
・土地だけ、家屋だけもできる。ただし、将来売却を予定しているならば建物の一部だけでも土地とセットで贈与した方が得。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が夫婦で使えるから。
・不動産取得税は条件を満たすと軽減できる。軽減するには土地と居住用建物がセットでなくてはいけないので、土地のみだけでは軽減できない。申請をすることで軽減できる。
相続税、贈与税もからめて考えると
前回のブログと合わせて、配偶者居住権、贈与税の配偶者控除をブログにしてみたけど、相続でモメることなく配偶者が自宅を手に入れることができ、かつ、配偶者の生活費が確保できるようなその他遺産が相続人と分けてもあるならば、自宅に関しては小規模宅地等の課税価格の計算の特例を使って土地の評価を80%減額させることもできるし、登録免許税(相続の場合0.4%)も安くすむし、不動産取得税もかからないので相続の方がオススメではある。
配偶者への居住用不動産の贈与の特例を使って、2,110万円以上の贈与を行ったならば、贈与税がかかる。相続なら基礎控除額も大きいし、配偶者の税額軽減を使って配偶者に相続税がかからない場合の方が大きい。
上記の理由から生前に居住用財産を贈与するメリットとしては
・争族になりそうなので、配偶者のために生前に贈与する。
・遺産がありすぎての節税対策。
この2点に当てはまりそうなら配偶者への居住用不動産の贈与を考えてみよう。
ちなみにこの改正はすでに施行されている。
配偶者居住権とは?いつから?相続時どうなるの?
民法改正めじろ押し!
その内のひとつである配偶者居住権の新設について深堀りしてみよう。
現行民法ではどうなっているかというと、例えば
・遺産がほぼ不動産だけだった→相続人に法定相続分を割り振るために、配偶者が住んでいた家を売るハメになり追い出される。
・預金等もあるけれど遺産不動産の評価が高かった→配偶者が住んでいた家を相続したものの、預金等を相続できなかったため、生活費が捻出できない。
・「居住用不動産の贈与税の配偶者控除」があるのに、配偶者への特別受益になってしまうためイマイチ使いにくかった。
上記のようなことが起こっていたために、この度配偶者居住権というものが新設された。
配偶者居住権とは?いつから?相続時どうなるの?
法定相続の基本のき
法定相続人とは
配偶者は必ず相続人である。
血族である。
第1順位→子供がいる場合は子供と配偶者
第2順位→子供がいなくて配偶者だけの場合は父母(父母死亡時は祖父母)と配偶者
第3順位→子供も配偶者も父母もいない場合は兄弟で、故人より兄弟が先に亡くなっている場合その子供達が代襲相続人となる
下位順位の者は上位順位が死亡、相続放棄等しない限り権利はない。
子供が死亡していて、孫がいる場合は孫が代襲相続する。
法定相続の割合
第1 順位→配偶者1/2、残り1/2を子供達で分ける
第2順位→配偶者2/3、残り1/3を父母で分ける
第3順位→配偶者3/4、残り1/4を兄弟で分ける
代襲相続の遺産割合の計算
例えば子供が2人(兄、弟)がいて、兄死亡で兄の子供が2人いたとする。
妻は1/2、弟は1/4、兄の子供は1/8づつである。
代襲相続は結構あります。言葉だけでも覚えておきましょう。
遺言と遺留分
遺言書を書くとその通り実行されるけど、遺言を書く場合は深い知識が必要。自信がない場合は相続に詳しい人に相談するのが一番。民法と相続税法が複雑にからみあっていて、あるメリットを使うとデメリットがくっついてきたり、聞きかじった知識だけでやってしまうともれなく争続が起こったりする。その最たるものが遺留分である。
遺留分とは法定相続分の1/2の割合をいい、その割合の分は遺産をもらう権利がある。
つまり遺言書とおり実行されて、全く貰ってないとか、遺留分の割合を貰ってないという相続人が、貰い過ぎている相続人に相続財産の請求ができる権利のこと。
遺留分もこの度改正となって(2019.7.1~)、遺留分行使によって生じる権利が金銭債権となった。どういうことかというと、貰い過ぎている人は金銭で払わなくてはいけなくなったということ。金銭で払えない場合、裁判所に支払期限の猶予を求めることができる。
名称も「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」と変更へ。
遺言書も民法改正になった。
現行法では自筆証書遺言は全文を手書きしなくてはいけなかったけども、改正法では財産目録をPCで作成してもいいことになった(2019.1.13~)。さらに、遺言書を法務局で預かってくれることになり(2020.7.10~)、遺言書の存在が遺族に分かりやすく、偽造防止に役立つことになる。手数料はまだ未定だが、数千円という感じらしい。
遺言書改正はめっちゃイイと思った。
やっと本題の配偶者居住権
現行の問題点
前置きが長くなったけど、上記までのとおり法定相続分と遺留分と遺言書を分かって頂けないと説明がしにくいもので…やっと本題の配偶者居住権。
現行制度の上記のイラストは遺産に預金もあったパターンだけど、自宅不動産しか遺産がほぼなかっただと、遺留分を請求され最悪住みなれた家を売るしかなかったり、自宅を相続した他の相続人に立ち退きを求められ追い出されることも。いくら遺言で自宅は妻にと残しても遺留分があるから遺言とおりにいかない場合が出てくる。
配偶者居住権を設定するには
ここからはわかりやすく亡くなった人=夫、配偶者=妻で例えていきます。
配偶者居住権とは、夫名義の自宅に相続開始時妻が居住用として住んでいた場合は、妻が自宅を取得することが出来なかったとしても住み続けることができる権利のことをいう。
改正後は上記のイメージ。
つまり自宅を居住権と負担付き(配偶者居住権のついた)の所有権に分けようというもの。妻は遺産分割の選択肢のひとつとして、終身または一定期間無償で居住できるようになる。
ただし、第三者に対抗するためには配偶者居住権を登記することが必要。どういうことかというと、自宅を相続した(例えば子供)が自宅を売却してしまったり、差押がされてしまったりすることが考えられるがそれに対抗するために登記をしようということ。
配偶者居住権は下記によって成立する。
①遺産分割協議
②遺贈・死因贈与
③裁判所の決定
例えば②だと遺言書等があるが、「自宅は子供に相続させ、配偶者居住権を妻に取得させる」という文言で作成するといい。
配偶者居住権を気で付けること
・相続発生時に自宅が共有財産になっていると適用できない。夫婦の共有名義ならOKだが、親子の共有の時は適用外。
・配偶者は所有者の承諾がないとリフォーム等をすること、自宅を貸し出すことはできない。
・固定資産税の支払いやリフォーム代金など自宅にかかる経費をどちらの分担にするかはまだ未定。(固定資産税と、現状維持の修繕費は配偶者持ちなのではないかと予想されている)
・配偶者居住権はその人だけの権利であり、売却することは出来ない。
・配偶者居住権は配偶者死亡で消滅するので誰かに相続出来ない。配偶者死亡で所有者には「負担付き」がなくなり通常の所有権になるので売却なりなんなり自由にできる。
遺言もなく遺産分割協議でも配偶者居住権を取得できなかった場合
うちの家族は仲がいいから大丈夫と思っていたり、遺産が少ないから遺言書なんかいらないだとうと故人の遺志が見えない場合や、遺産分割協議で結局配偶者が自宅に住めなくなる場合、改正法では何かないのか?
配偶者短期居住権の新設
適用要件は配偶者居住権と一緒で、自宅に配偶者が住んでいた場合に限る。
自宅が配偶者以外に相続された場合や、遺言で配偶者に自宅を相続させないなどの意思表示をしている場合であっても以下の期間は従来とおり住める。
①遺産分割に関与する場合は確定するまでの間(最低でも6ケ月)
②第三者に遺贈された場合や配偶者が相続放棄した場合には、建物の所有者から消滅請求を受けてから6ケ月
配偶者短期居住権は配偶者居住権と違い、権利としての価値がありません。価値がないので相続税もかからないし、その他の遺産からマイナスされることもない。
配偶者居住権はいつから?
2020年4月1日~以降の相続発生からで、遺言書も2020年4月1日以降作成のものになる。
配偶者居住権の個人的な見解
今回の配偶者居住権の新設は夫または妻を亡くした年老いた配偶者への居住という権利に救済が入るような改正。これが正しい救済なのかどうかは見る角度による。どこの家庭もが政府が理想とする家庭を築いてるとは限らない。
故人が再婚をしていると(特に子供が成人後)継母または継父と折り合いが悪く、育った家にタダで折り合いの悪い配偶者が住むことになる。しかも負担付きで所有権はあるが自由に使うことができないなど容易に想像できる。
固定資産税の支払いは配偶者の予定ということだが、払わない場合はどうなるか?もちろん住んでもいない所有者に義務が回ってくることだろう。
配偶者居住権を遺言や遺産分割協議で決める場合は、よくよく考えて決めることをお勧めする。決めたならば、権利をキッチリ主張しよう。
雇用保険と副業と兼業と失業、基本手当受給について
最近わたしの周りでは副業をしている方が多くなってきた。
「働き方改革」の一環で2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
を公表し、政府としても副業をやるべきと認めたことによるものといえる。
前回の記事で教育訓練給付を伝えたけれど、資格を取ったならば趣味を超えて所得にしたいのは当たり前のことだと思う。
すでに副業をしていたり、副業所得が多くなってきたから本業をやめようかなと思っている方にむけて記事にしてみました。副業はしてないけど本業を辞めた方にも参考にできればと失業手当を濃い目にしていきます。
雇用保険と副業と兼業と失業、基本手当受給について
一般的に雇用保険といえば失業手当といわれているものを思い浮かべると思う。
雇用保険って何をしているもの?というのは前回の雇用保険概要図を要チェック。
雇用保険の失業手当って?
失業、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活費を心配しないで、1日も早く再就職していただくために支給されるもの。
一般的に失業手当(失業給付)=基本手当という(上記ブログ概要図の一番上になるとこ)。
①②③満たして雇用保険の被保険者となる
①事業主と雇用関係にある
②週の所定労働時間が20時間以上ある
③継続して31日以上の雇用見込みがある
雇用保険の被保険者かどうかは、給与明細を見ると「雇用保険」が天引きされているからわかる。短期や短時間は被保険者にならない。請負、委任、自営業も被保険者にはならない。
受給要件(①②満たすこと)
①離職日以前2年間に雇用保険被保険者期間が通算して12カ月以上ある(倒産・解雇の場合は離職日以前1年間の内、6カ月ある)。
②求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にある。
受給期間は原則離職翌日から1年間で、たとえ所定日数が残っていても受給期間を過ぎると基本手当支給はない。受給資格決定日から7日間の待期期間があって、その間は支給されない。
基本手当日額はいくら?
賃金日額×賃金日額に応じた率
賃金日額=原則として被保険者期間として計算された最後の6ケ月間に支払われた賃金を180で割って算出する。
賃金日額に応じた率=50~80%(60~64歳については45~80%)
ちなみに基本手当日額には上限額と最低額が決まっている。
【賃金日額の上限と下限】
30歳未満 | 30歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 | 最低日額 |
---|---|---|---|---|
6,750円 | 7,495円 | 8,250円 | 7,083円 | 1,984円 |
給付日数 はどのくらい?
【自己都合・定年の場合の所定給付日数】
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|
一般の離職者 | ー | 90日 | 120日 | 150日 |
【倒産・解雇等の場合の所定給付日数】特定受給資格者、特定理由離職者の一部
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自分が特定受給資格者、一部特定理由離職者に当てはまるかどうかは下記リンクを参考に。
ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
基本手当自動計算サイトならこちらがいいかも。
副業をしている場合の雇用保険はどうなっているの?
雇用保険は主たる給与の1社のみ適用される。パートの方は2社で雇用保険適用してしまう方も中にはいるかと思うけど、主たる会社のみになる。 2社それぞれの週の所定労働日数が20時間未満だと被保険者なれない。
副業をしてる人が本業を失業した場合の手当はどうなるの?
「自己の労働による収入」がある場合は基本手当の減額あるいは不支給になる。
自己の労働による収入とは、就職とはいえない程度の短時間就労で原則1日4時間未満のもの。雇用形態、請負、内職、自営業もOKだけど、ハローワークの職業紹介にすぐに応じることができないなどは、求職活動の意思がないとみられて基本手当は受給できない。
4時間未満の雇用でも雇用保険の被保険者になった場合や、求職活動しないで請負、委任、自営業に専念すると就職扱いになり不支給となる。
賃金日額の80%をラインに減額、不支給されます。
自己の労働があると、収入から1,294円(この額は改定があると変更する)の控除があり、差し引かれた分で計算される。超過額が多くなるほど基本手当は減額されて、賃金日額の80%と超えると基本手当は不支給となる。
イメージとしては下図を参照。
副業と基本手当受給のまとめ
基本手当だけじゃ生活費が足りなくて求職活動しながら少しでも収入が欲しい人もいる。
基本手当を受給するにはハローワークの紹介にすぐに応じることが出来なければならないという制限もある。
控除額が1,294円と平均時給の1時間分より多く差し引かれちゃう。
基本手当の上限額もあるし、賃金日額の80%という縛りもある。
賃金日額の80%ならば離職前の収入によるので一概には言えないけど、再就職を考えるならば基本手当の所定日数はひたすら求職活動をした方がいいのじゃないかと思える制度。
副業といっても毎日ではないし、基本手当日額より多いならばその日は収入が多い方を取ればいい。
離職前の賃金日額が高かった人は80%までの幅が広くなるのでシュミレーションをして副業収入を得てみよう。
副業をメインにしていくと決めて離職し、開業の為に事務所設営開始や登記、働き手を雇い入れるなどは就職に該当してしまう。その場合、「就職促進手当」を受けられる可能性がある。就職促進手当とは基本手当の受給資格決定後に、早期に就職が決定した場合受給できる手当。受給には様々な要件がある。
就職促進手当については長くなるので次回のブログで記事にします。
※この記事は2019.7.9に書きました。基本手当受給決定日で日数や金額が変更になる場合があります。
雇用保険の教育訓練給付について知ってみよう。支給対象者や講座まで2019年版。
給与明細を見ると雇用保険が天引きされている(労働者負担0.003)かと思うが、この雇用保険がどのように運用されているかご存知だろうか?
雇用保険=失業した場合の失業給付と思い浮かべるけども、実はかなり広範囲なことをしているのです。
日本という国は制度を知らないと、とことん損をするだけ。
そんな雇用保険で行われる教育訓練給付について掘り下げて、記事を書いてみた。
教育訓練給付は聞いたことあるけど失業中の話でしょ?と勘違いしてる方も多い。在職中でもOKだから「あの資格欲しいんだよー」「あの予備校行きたかったんだよー」と思ってる方は参考にどうぞ。
雇用保険の教育訓練給付について知ってみよう。支給対象者や講座まで2019年版。
雇用保険の概要
まずは雇用保険で何を受給出来るか、そしてどんなことをしている社会保険なのか図を見てみよう。
給付、手当、各種支援訓練があることが上記図でわかるかと思う。育児休業や介護休業給付は健康保険じゃなくて雇用保険。
教育訓練給付とは何か
雇用の安定と再就職を促進させるために、教育訓練受講の支払いの一部が支給される。国の指定を受けた機関なら資格取得のために通う予備校や学校、通信教育までOK。
教育訓練給付には一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金があって、支給額の算定基礎になる教育訓練経費は入学料と受講料の合計です。交通費やパソコン等の機材、資格取得受験料、訓練機関の行事費用などは算入できません。
教育訓練給付を受けたいことを訓練機関へ前もって伝えるように。途中からでは給付は受けられない。特に専門実践教育訓練給付はハローワークに事前書類申請もある。通い始めてから「そんな制度あるんだー、申請しよっ」と思っても遅いわけで。
受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタント)が行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を加えることができる。ただし、上限2万円まで。
一般教育訓練給付とは
簿記検定や介護職員初任者研修、TOEICや普通免許などまで職業能力アップを支援する教育訓練。
教育訓練施設に支払った金額の20%が支給される。ただし、支給額の上限は10万円で教育訓練経費が4,000円(税込)を超えない場合は支給されない。
すべて当てはまる人が対象
・在職者、または離職した日から1年以内(妊娠、出産、育児、疾病等で教育訓練給付の対象機関が延長された場合は最大4年以内)。
・雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回に限り、1年以上)である者。
・前回の教育訓練給付受給から3年以上経過している。
・所要のカリキュラムを受講の上、受講修了することが必要。
・所定の期日までにハローワークで支給申請手続きを行う。
なお、支給要件は受講開始日で適用できなくなったり、雇用保険被保険者の年数が不明だった場合など、本当に自分は支給要件に合致しているのか、支給要件照会で確認することができる。「教育訓練支給要件照会票」に記入し本人身分証明書と共に、ハローワークへ行くか郵送で確認できますよ。
一般教育訓練の申請手続き
受講者本人がハローワークに提出します(受講修了日翌日から1カ月以内)。
提出書類は
①教育訓練給付給付金支給申請書
②教育訓練修了証明書
③領収書
④キャリアコンサルティング費用を支給する場合は「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」「キャリアコンサルティングの記録」「キャリアコンサルティング実施証明書」
⑤本人・住所確認書類(運転免許証、住民票、マイナンバーカードなど)
⑥マイナンバー確認書類
⑦身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
⑧雇用保険被保険者票
⑨教育訓練給付適用対象期間延長通知書(適用期間の延長をしていた場合)
⑩返還金明細書(領収書が発行された後に、教育機関から還付された場合に教育機関が発行する)
⑪振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード(番号確認のため)
⑫教育訓練経費等確認書
書類が足りなくてハローワーク往復しないようにチェックしましょう。
専門実践教育訓練とは
一般とは違い、専門的な知識がいる「業務独占資格」「名称独占資格」といわれるもので、例えば看護師、測量士、あんまマッサージ指圧師、美容師、調理師、保育士など。
その他、高度IT分野、一定以上レベルの情報通信技術、高度専門職人など。
訓練期間は原則1年以上3年以内と、長期の訓練期間が必要となるものです。
1年間の上限額が40万円で、最大3年までなので上限額が120万円となります。
修了後の168万円も3年の上限額なので、訓練期間が1年ならば56万円ですね。
すべて当てはまる方が対象
・在職者または離職した日から1年以内(妊娠、出産、育児、疾病等で教育訓練給付の対象機関が延長された場合は最大4年以内)。
・雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回に限り2年以上)である者。
・所要のカリキュラムを受講の上、受講修了することが必要。
・所定の期日までにハローワークで支給申請手続きを行う。
気を付けることは受講1カ月前までに、下記のことを行ってください。
①受講開始日前にキャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受ける。ただし在職者の場合は、勤務先から専門実践教育訓練給付を受講することを承認したことを証明される場合には必要ありません。
②キャリアコンサルタント発行のジョブカードを作成する。
③ハローワークで配布する「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」をジョブカードと一緒にハローワークに提出する。
受講前の提出書類
上記の1カ月前書類の他に
④本人住所確認書類(免許証・住民票・マイナンバーカードなど)
⑤身分確認書類(免許証・マイナンバーカードなど)
⑥雇用保険被保険者証
⑦教育訓練給付適用対象期間延長通知書(適用対象期間の延長をしていた場合)
⑧振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード(番号確認のため)
⑨ 証明写真2枚
さらに支給申請の提出書類
専門実践教育訓練中は受講開始日から半年ごとの末日の翌日から1カ月以内が支給申請期間になる。つまり半年ごとに支給してもらえるんですね。
受講修了後は1カ月以内に申請してください。
目的の資格を取得し、かつ講習修了から1年以内に雇用者された場合は追加給付を受けることができる。雇用されてから1カ月以内に申請してください。
①教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者票
②教育訓練給付金支給申請書
③受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書
④領収書
⑤返還金明細書(領収書が発行された後に、教育機関から還付された場合に教育機関が発行する)
⑥教育訓練経費等確認書
⑦資格取得したことにより支給申請する場合は、資格取得を証明する書類
教育訓練支援給付金も当てはまるかどうか確認してみよう
初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給。受講途中で離職した場合は支援給付対象にならない。
訓練受講をさらに支援するため、雇用保険の基本手当の日額に相当する額の80%となる「教育訓練支援給付金」を支給される。(基本手当とは一般的に失業手当と言われているもの)
基本手当の給付を受けることができる期間は、教育訓練支援給付金は支給されない。基本手当の支給が終了したあとは給付を受けることができる。
つまり基本手当と支援給付金は併給できない。
対象講座一覧
ありとあらゆる多彩な教育訓練機関や資格がわかります。目当ての資格が訓練講座に当てはまっているか、自宅から近い訓練機関住所、目的の通信教育があるかわかります。ハローワークでももちろん教えてくれますよ。
検索システムサイトには一覧もあるので、どんな資格があるのかな?と思ったら一覧を見てはどうでしょう?62ページもあるけど。
詳しい教育訓練講座の中身が知りたいときは、各教育訓練施設に問い合わせしてください。
給付を受けるにはとっても煩雑だけど
給付金なり補助金なり国からお金を貰うっていうのは手続きがとても煩雑で、書類が足りなくて何回も往復しちゃうなど面倒なものです。なんでこんなに面倒くさいのーっと思っても、やらないことには給付されません。国のお金なのだからキチンとやりなさいということなんでしょう。
訓練給付のパンフレットには最後にこんなことも書かれています。
「支給申請は正しく行ってください。偽りその他不正行為により教育訓練給付金の支給を受け、または受けようとした場合は、教育訓練給付金を受けることができないばかりでなく、不正に受給した金額の返還と更にそれにくわえて返還額の2倍の金額の納付を命ぜられ、また詐欺罪として刑罰に処せられる」
不正受給はつまり、給付額×3を払うことになる上に詐欺罪になるので、申請は正しく行いましょう。
ちなみに会社から資格取得の福利厚生費や手当が出てる場合は、その分を教育訓練経費から差し引いて申請する必要があります。
※今回の記事は平成29年12月31日前に訓練受講開始した方に金額等当てはまりません。
仕組みを知って家計費を減らそう。遺族年金編
遺族年金という言葉は知っているけど、詳しい仕組みを知らないのではないだろうか?
遺族年金を知ると民間の保険料への考え方が変わると思います。
保障という安心が欲しいのは、将来のお金の不安からくるものです。
不安は知ることで解消されます。
年金=65歳とイメージされるかと思いますが、年金は老齢年金だけではありません。
亡くなった方に生計を維持されていた、残された家族には遺族年金が支給されます。
そんな遺族年金の記事になります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
仕組みを知って家計費を減らそう。遺族年金編
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金=国民年金のことです。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入して、社会全体で支え合う公的制度です。
対象者は第1号被保険者と言われ、20歳以上60歳未満の自営業、農林漁業、自由業、フリーター、学生、無職の人など。
保険料は定額保険料16,340円/月(平成31年度)です。
国民年金は平成31年度で16,340円/月と説明しましたが、16,340円×12カ月×40年だと7,843,200円になります。平成31年度の老齢基礎年金の満額は780,100円ですが、65歳から95歳まで30年受給したとして23,403,000円になります。2,000万円足りない問題で騒がれていますが、約330%になる投資だと思うと私としてはスゴイと思うのですよね。
国民年金に加入している人が亡くなった場合
①死亡によって生計を維持されていた子供
②子供のいる配偶者
上記対象者が受給できます。子供は18歳到達年度末までの未婚の子(1.2級障害を持つ場合は20歳)。
子供がキーワードになってるのがわかりますか?
つまり子供の養育のための年金なのです。
子供がいない配偶者は受給できません。
遺族基礎年金の年金額=780,100円+子の加算額
加算額=224,500円(1人目、2人目)で、3人目からは1人につき74,800円の加算例えば子供が2人いたとして、1,229,100円/年(102,425円/月)受給できることになりますね。
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金=厚生年金のことです。
対象者は第2号被保険者にあたり、厚生年金や共済組合などに加入している会社員、公務員など。
受給対象者は遺族基礎年金よりも広く
厚生年金に加入している人が、
(1)在職中に死亡した場合
(2)在職中に初診日のある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合
(3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合
(4)受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合に、遺族に支払われる年金です。受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母(夫、父母、祖父母においては死亡時において55歳以上であることが条件であり、支給開始は60歳から)。
遺族厚生年金には短期要件(1)(2)(3)と長期要件(4)があり計算が異なります。
①配偶者と子②父母③孫④祖父母の順に支給され、先順位が受給する場合には後順位の者は受給できません。
遺族厚生年金は子供のいない妻も受給できますが、夫死亡時の妻の年齢が30歳未満で子供がいない場合、5年間の有期年金になります。
そして遺族基礎年金と併給できます。
短期要件の該当者はわかりやすい(現役で厚生年金支払っているor厚生年金支払い中の傷病により死亡or障害年金受給者)です。長期要件の該当者はわかりにくいですよね。長期要件は昔サラリーマンの時期があり、国民年金(基礎年金)を最低25年払っていた人のことです。サラリーマン歴は1カ月でも構いません。
厚生年金の計算式
短期要件と長期要件がわかったところで結局いくらなの?という話ですが
①平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの被保険者月数
②平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の被保険者月数
短期要件=(①+②)× 3/4 × 300/被保険者月数の合計*
長期要件=(①+②)× 3/4
*300月未満の時乗じる
①②ってこれ何の数字?と思う方は過去記事にて説明しています。
年金受給で60歳前半に多い勘違いを指摘する。その年金貰えるから手続きをしよう。 - FPちゃんねる
上記の短期要件計算式で300がありますが、これは厚生年金保険に加入して1年ほどで亡くなった場合でも特別に300月(最低保障)加入したとして年金額が計算されます。
長期要件では厚生年金被保険者期間を実月数で計算します。つまり厚生年金を払った月分でしか計算されません。
わかりにくい単語と数字を連ねましたが、平均標準月額もだいたいどのくらい働いたかもわかんねーよと思うのはごもっともでして、ねんきん定期便を確認しましょう。
3の年金額に2の加入期間をチェックしましょう。
例えば短期要件で240月で夫が死亡したとします。3の年金額は35万でした。
350,000×3/4×300/240=328,125円/年
遺族基礎と併給できるので、子供2人いる妻は1,229,100+328,125=1,557,225円受給できることになります。
遺族年金のシュミレーターはこちらが優秀
中高齢寡婦加算とは
子のない妻には遺族基礎年金が支給されないので、それを補うために遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算というものが受給できます。または子が18歳以上になって遺族基礎年金が止まった場合も当てはまります。寡婦とは夫に先立たれた後に再婚していない妻をいい、妻に先立たれた夫には適用しません。
②夫が長期要件に該当する場合、夫の厚生年金被保険者期間が20年以上で、短期要件の場合は被保険者期間は問いません。
平成31年度中高齢寡婦加算は585,100円で妻が65歳になると自分の老齢年金を受け取れるようになるので停止します。
イメージとしては下記を参考にしてください。
上記の図で65歳以降の経過的寡婦加算という単語が出てきますが、これは昭和31年4月1日以前生まれの人は制度新設が遅かったゆえに老齢基礎年金を満額支払っておらず、中高齢寡婦加算が終了して自分の老齢基礎年金を受給できるようになると、中高齢寡婦加算より減額された額になってしまいます。この差を埋めるための加算が経過的寡婦加算といわれます。
遺族年金結局いくら?
国民年金加入者
子供1人(子18歳まで)1,004,600円/年
子供2人(子18歳まで)1,229,100円/年
上記に加えて、厚生年金加入者または加入者だった者は被保険者加入月数と平均報酬に左右されるのでシュミレーターを使ってください。
子供がいるならば生活費の足しになるような額にはなりますよね。持ち家があるなら団信保険をかけているので住宅ローンは終了します。遺族年金額と現在の貯蓄、妻の予想所得を計上。そこから生活費と教育費その他かかるであろう費用を引いて足りない分で生命保険の保障額を決めます。
本来なら保障額というものは緻密なライフプランの上で決めるものです。年単位で出費する額も違うのでキャッシュフローの作成も必要です。
生命保険の保障額はそうした算出の元で作ってくれる営業マンから、自分にあった保険商品を選んでください。
ちなみにライフプラン作成は保障額を決める際に、保険会社のFP資格者が無料で作成してくれたりします。または保険会社のソフトで作成したりもしますが、そのソフトがどういう計算をしているかは分かりません。だいたいのソフトはなぜか平均値で計算するので全く自分の家計には当てはまりませんが。
資産運用を保険でするのはやめなさいという理由・外貨建て保険編
日本人は保険が好きである。
何かあった時の保障という安心が好きなのだろうか?
安心という言葉をお金で買っているのかもしれない。
資産運用と保険をなぜミックスして売っているのかというと「安心を買えて更にお金も増えますよ」というのは、言葉は悪いが騙しやすいのである。
だって保障はちゃんとついてるんだもん。
最近、外貨建て保険の苦情が前年の3割増え2,543件であるとのことで、商品を扱っている保険会社や金融機関は金融庁よりお叱りを受けたそうな。
そんな外貨建て保険の仕組みと、やめなさいと思う理由を述べてみる。
資産運用を保険でするのはやめなさいという理由・外貨建て保険編
私がみなさんに言いたいのは、保険と投資が混ざった商品を買うのはやめなさいということです。
保険商品には人件費、宣伝費、運営費など経費相当の手数料が含まれています。
その手数料は保険料のどの位を占めるのかという中身について、保険会社が公表する義務はないのです。
さらに代理店である金融機関などは、代理店手数料として商品ごとに保険会社から手数料を貰っています。
つまり投資しているはずなのに、手数料という名の儲け分は保険料を払った瞬間に赤字になっている訳なんです。
私は株もやりますが、極端に言うと外貨建て保険というものは、払った次の日に30%まで下落した株価になっているようなもんなのですよ。損切したくてももう出来ないような頭真っ白大暴落株です。
外貨預金の仕組み
まずは通常の外貨預金の説明から。
外貨預金とは円を外貨に換えて、他国の預金金利で運用する商品です。
定期預金1年の米ドル金利は、ソニー銀行2.0%、イオン銀行2.0%(2019.6.18現在)となっていて、日本国内で定期預金するよりよっぽど高い金利なのは一目瞭然です。
リスクとしては為替リスクがあるため、解約時に円高になっていると元本割れが生じる可能性があるということ。
円を外貨へ(TTS)、外貨を円へ(TTB)には手数料がかかるということです。
あとはカントリーリスクといってその国の政治事情等に経済が左右されること。
米ドルの為替手数料は0%~0.5%位と扱う金融機関で手数料がかかります。
例えばその日の基準レートが1ドル100円だった場合、100円を1ドルにするには100.5円かかることになります。
さらに通貨により、TTSとTTBの手数料も違う事にも気を付けましょう。
メジャーな通貨ほど安く、マイナーな通貨ほど為替手数料は高くなっていきます。
ちなみに米ドルなら0%~0.5%ですがオーストラリアやユーロなどは1~2%位と高くなっています。
預入の金利が高いのと比例して手数料も高いと思った方がいいでしょう。
預け入れ時手数料がTTSで2%、解約時TTBで2%ということはそれ以上の金利じゃないと利益になりませんよね。
オーストラリアドルは預入金利が高く人気の外貨預金ですが、手数料も高いことに要注意です。
投資は金利と手数料を計算して、それ以上の利益を見込めるのか考えてから購入しましょう。
メガバンよりネットバンクの方が為替手数料は安いです。定期的にキャンペーンで0%も行っています。
預入金利も各金融機関で違うので金利と手数料を必ず確認しましょう。
外貨預金のシュミレーターですが、こちらが使いやすいです。為替の損益分岐点も同時に出ます。
外貨定期預金シミュレーター | 情報・ツール | 外貨預金 | じぶん銀行
外貨建て保険の仕組み
本題の外貨預金保険ですが、リスクとして通常の外貨預金と同じです。
介護保障や死亡保険保障等がついていて、ある程度寝かせてから元本を上回る利息がつく商品です。
元本が上回る年数は保険商品により差がありますが、ある程度の年数がかかるのは確かで、その前に解約すると元本は保証されません。
なぜ寝かせる必要があるのか?
手数料という名の儲けを回収している期間だからです。
予定利率とありますが、その予定利率どうやって計算しているのか売っている人に聞いてみてください。
利率とは一般的に年で計算しているイメージをみなさん思い浮かべると思うのですが、そうやって計算してないのですよ。
みなさんがイメージしている年利で計算すると、パンフレットの利率にならないのです。
外貨預金建て保険ランキングで検索した某商品ですが、為替レートが一緒なら25年寝かしてやっと払込代金と解約返戻金が一緒になっていました。
25年全く増えない投資ってあほらしくないですか?
為替レートが一緒とするならば、通常の外貨預金なら1年目から利益出ますよ?。
リスクがすべて一緒なのに、保険会社を儲けさせるためにあるような商品なのですよ。
投資と保険は分けよう
それでも安心という保証が欲しいならば、外貨預金建て保険の保障は死亡とか介護とか年金とかなので、別枠で保険をかければいいのです。
ちゃんとライフプランをたて保障額を算出し、必要な保障をつけ、無駄なものを削ぎ落した保険を。
通常の保険商品ならあれこれ保障をつけたり、金額の設定も細かく出来ます。
投資でお金は増やす。iDeCoやNISAが適用出来るなら税制優遇も受ける。
保険で自分にあった細かい保険を確保する。
営業に騙されない。以上です。
じゃあ、保険じゃなくて外貨預金するわ!と思ってもちょっと待って下さい。
バーンと銀行に行って外貨預金するわと言ってしまうとその日に預金しちゃう流れになります。
しばらく使う予定がないまとまったお金があるから、すぐ外貨預金で運用したいと思っても為替の動向を見て預金すること。
為替は毎日ニュースで放送されているのでテレビだけで確認できます。
なるべく円高の時を狙いましょう。
まとめて預金するお金はないけれど積立なら出来るという方には、ドルコスト平均法といって高い時も安い時も買うことで結局平均的になるという考え方もあります。
ただ外貨預金は、私的年金運用で税金が優遇されているNISAやiDeCoは適用出来ません。
投資には様々な金融商品がありますので、外貨預金にこだわらず家計状況やご自分の投資スタイルで商品を選びましょう。
人気うなぎのぼり商品なのに、苦情が多く金融庁に叱られている外貨建て保険の話でした。
- 作者: 岩城みずほ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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2019年版働き損はどこだパート収入と世帯収入の一覧
子育てや介護など家庭の事情のためにフルタイムで働けない方はたくさんいらっしゃいます。
所得税、配偶者控除、社会保険料など仕組みが複雑すぎる上にころころ税制改正もある。
パートで働くことによって配偶者の収入はどうなるか?結局世帯収入としてどう増減するのか?パート年収のどこのラインで区切ると働き損にはならないのか?
ほんと分からないというか分かりにくいですよね。
今回は具体的な数値を出してみて、分かりやすくしたいと思います。
ブログの説明はわかりやすくする為に夫に妻が扶養されていると仮定しての文言になります。妻に夫が扶養されていても同じ結果になります。
2019年版働き損はどこだパート収入と世帯収入の一覧
2018年の税制改正により、配偶者特別控除の要件が変わりました。
人口減少により、もっと働いてもらえる人数を増やしたい。
所得制限に関わらずもっと働きたいなどなど政府と家庭内の事情を合わせてきた感じですかね?
法整備や環境など全然間に合ってない気もしますが、決まったものには対策をして賢く対応しなければなりません。
配偶者控除を適用させるには
条件に適用している配偶者でなければなりません。
- 婚姻届けを出している
- 12月31日時点で夫婦である
- 生計一にしている
- 事業専従者として給与を貰っていない
- 夫の年収1,220万円以下
現在フリーランスで働いている方も増えてきました。
フリーランスの方は「収入ー経費」で所得を計算してください。
気をつけなければならないことは給与ではないので所得が38万円以下かどうかです。
給与所得としての103万円のラインと一緒にしてはいけません。
103万円の壁、130万円の壁、150円万の壁などと聞いたことはあると思います。
まずは壁の説明から。
103万円の壁
103万円以下ならば所得税がかかりません。
住民税は100万円以下ならかかりません。
夫は配偶者控除で所得税38万円、住民税33万円を受けることが出来ます。
130万円の壁
130万円を超えると給与所得者は社会保険料を支払わなければなりません。
会社とは折半で健康保険料と年金を払います。
ただし勤務先と所得要件の5要件全て満たされると130万円以下でも社会保険料は発生します。
社会保険の5要件とは、
- 週の所定労働時間20時間以上
- 勤務期間1年以上
- 月額賃金88,000円以上(交通費、残業代、家族手当、賞与等除く)
- 学生ではない
- 従業員501人以上(社会保険に加入している人数)
上記の5要件に1つでも該当しないならば130万円が社会保険料のラインになります。
150万円の壁
配偶者特別控除は見直され150万円以内まで拡充されました。
配偶者特別控除とは妻の収入金額により夫の給与から段階的に下方修正された金額が所得控除されます。
ではブログのメインになる一覧です。
生命保険料控除、医療費控除などは個人で違うので計算しませんでした。
給与と賞与では社会保険料が違うのですが、各個人で給与と賞与の金額のバランスが違うため、単純に賞与を考えず年収÷12カ月で社会保険料を算出しています。
ですので、本当に正確な数値ではないことをご了承下さい。
配偶者特別控除は夫の年収1,120万円以下、1,170万円以下、1,220万円以下でも配偶者特別控除の数値が違います。
今回は年収1,120万円以下で計算してみました。
配偶者特別控除額は妻の所得金額により段階的に所得税で38万円~3万円、住民税で33万円~3万円と下がっていきます。
妻の稼ぎによって夫の控除額に差が出てくるので、上記の表で夫の年収500万で計算しましたが、500万に当てはまらない方も控除額自体は一緒ですのでイメージしやすいと思います。
どこがパート収入で働き損ラインなのか
みなさんが気になるのは妻が働くことにより夫の収入がどう変わって結局世帯収入がどう増減するかですが、
103万以下と130万円では社会保険料を払って+約61,600円。
110万円と130万円ではほぼ同じになってしまう。
120万円と130万円では120万円の方が約85,900高くなる。
150万超えたならば120万円より多くなるからもっと稼ごうという感じでしょうか?
勤務時間が増えたのに、手取りはこれだけ?の許容範囲は人それぞれです。
パートの時間や所得調整の参考値としてブログにしてみました。
これは2019年6月で計算した世帯収入です。
将来の年金受給を考えるならば妻に厚生年金という2階建て部分が生涯支給され老後はプラスになります。
厚生年金は老齢厚生年金だけではなく、万が一妻が亡くなった場合は遺族厚生年金、万が一障害を負った場合は障害厚生年金も受給出来ます。年金払うのバカらしいなぁーと思うのはよくわかりますが、厚生年金に関しては民間の生命保険料と考えてみてもいいでしょう。死亡と障害者保障のついた商品として。その分生命保険をかけているならば安い保障に切り替えることが出来ます。
気を付けることは妻が働くことによって、夫の会社の家族手当などに引っかかることがないかだけは確認してください。
空き家と相続、その対策
建築関連の構造的問題から、少子化、都市部への移住、家庭内の都合など日本に空き家が増えて問題になっています。政府や自治体の対応、空き家ビジネスの現状など空き家に関することをほけんROOMさんで記事を書かせて頂きました。
あまりに長くなるなーと思って記事に載せきれなかった譲渡による税金は今回のブログにしてみます。
不動産業界から見た空き家問題の現状と対策、相続も考えてみる
ほけんROOMさんで記事を書かせて頂きました
空き家の対策、空き家を所有することになる相続の生前対策をまとめています。
政府のデータや具体的な相談方法も載せています。
不動産を売った時の税金
不動産を売った時の税金ですが、売却によって利益が出ると誰がどれくらいの期間保有していたかで税金の種類や課税内容が違います。個人が不動産を売ると譲渡所得に対する所得税と住民税が発生します。今回は「個人」が「居住用」不動産を売った時の税金の話であり、空き家にからめるので「5年以上所有」していることを前提で進めます。
課税される計算式は以下の通りです。
- 取得費=土地価額、減価償却後の建物価額、購入の際の仲介手数料、不動産取得税、登録免許税、登録手数料など(実際の取得費が不明の場合、譲渡価額の5%となる)
- 譲渡費用=売却の際の仲介手数料、測量費、広告費、印紙代、解体費用など
- 特別控除=3,000万円の特別控除など
先祖代々の土地だからと取得費がわからない方もたくさんいるかと思います。書類が残っていない場合、取得費を出すことは難しく、ほとんどの場合譲渡価額の5%で計算しています。これから住宅を購入しようとされる方は自分の為、そして子孫の為にボロボロになろうが書類を保管しましょう。
課税長期譲渡所得(所有期間5年超)にかかる税金は課税所得金額に一律20%(所得税15%、住民税5%)の税率になります。復興特別所得税として所得税額の2.1%が別途かかります。
国税庁の長期譲渡所得の税額の計算はhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
居住用財産の特別控除と軽減税率とは
親を呼びよせたから実家が空き家になった、施設に入所したから空き家になった場合、今まで居住してたので居住用財産として特別控除と軽減税率があります。
居住用財産とは
次のいずれかの家屋、敷地の譲渡に適用されます。
- 自己の居住している家屋
- 居住しなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに譲渡した家屋
- 居住用家屋とともに敷地を譲渡した場合
- 災害により滅失した居住用家屋の敷地で居住されなくなった日から3年を経過した12月31日までに譲渡されたもの
- 居住用家屋の譲渡で、その土地の譲渡契約がその家屋を取り壊した日から1年以内に終結され、かつ、その家屋に居住しなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに譲渡したもの(貸付していないこと)
※ただし、親族など特別関係の相手には使えません。
5を説明すると、建物が古すぎて売れないなどの場合、通常の売買では更地可で売出し、売買契約を終結後、買主のローン審査が通過してから解体を始めます。その後土地引渡時の決済金で解体業者に解体費用を支払います。取り壊したものの1年以内に売れなかったよとか解体費用捻出出来ないよの心配はありません。解体費用より土地代が安い場合は赤字になりますが…。
居住用財産の特別控除
3,000万円の特別控除がうけられます。つまり譲渡益3,000万円までは税金がかかりません。
軽減税率
所有期間が譲渡した年の1月1日で10年を超える場合には税率が軽減されます。
3,000万円の特別控除とセットで併用することができます。
- 3,000万円特別控除後の譲渡所得の内6,000万円以下の部分14%(所得税10%、住民税4%)
- 3,000万円特別控除後の譲渡所得の内6,000万円を超える部分20%(所得税15%、住民税5%
復興特別所得税として、所得税額の2.1%が別途かかります。
国税庁のマイホームを売った時の軽減税率の特例はhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
相続空き家の特別控除の特例
こちらは相続により空き家になった場合の特例です。居住用財産の特別控除と同じく3,000万円の特別控除があります。
相続開始の直前にご両親等の居住用になっていた場合の土地と建物において、取得した相続人に適用されます。適用要件は以下の通りです。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたもの(区分所有ではない)
- 被相続人が一人で居住
- 相続から売却まで貸付、居住、事業に使っていない
- 売却代金の合計額が1億円以下
- 取得相続人が耐震リフォームまたは解体して売却
- 相続開始から3年後の12月31日までに売却
空き家売却予定なら早めの判断をする
特例を適用させるには確定申告が必要です。3,000万円の利益が出なかったから税金発生しないよねーと思ってはいけません。申告して初めて適用されます。申告しない=特例使わないと判断されちゃうんですね。
特例を適用させるには3年後の12月31日がキーワードになっていることがわかるでしょうか。放置していると適用期間が過ぎてしまい余計な税金を払うハメになるので、空き家を所有して売却をすると決めているならば早めに決断をした方がいいのです。
生前施設に入居した場合相続税もからめてシュミレーションすると、生前売却か相続後売却どちらが節税になるか各個人の資産状況や家庭事情によります。不動産資産価値の変動もからむので専門家に相談しましょう。
空き家の売却以外の活用方法はほけんROOMさんにて記事にしました。
廃業して店舗兼住居または事務所等を住居にしている人向けの固定資産税が軽減する措置
美容院だったり、飲食店だったり店舗兼住居で家を建てる方はたくさんいらっしゃるかと思います。
事務所や倉庫で使っていたものを廃業しリフォームして住居として使っている方もいるかと思います。
そんな「昔は商売で使っていたけど今は住んでいる」方向けの記事になります。
固定資産税高いですよね?特に土地。
住居だと固定資産税安くなる軽減措置があるのですよ。
廃業して店舗兼住居または事務所等を住居にしている人向けの固定資産税が軽減する措置
固定資産税とは何か
土地や家屋を持っているとかかる税金で毎年1月1日に所有している人に納税通知書にて請求されます。
自治体が税額を確定する賦課課税方式に該当し、勝手に確定されたものを納税者は粛々と払います。
厳密には負担水準も計算式に入るのですが、負担水準を説明すると1時間はかかってしまいそうなので割愛します。
一度住居兼店舗または昔何かしらの事業用で登録されると、外観が事業用のままなので本来なら住宅用地の特例が使えるのにが是正されないまま見過ごされます。
住宅用地の軽減措置とは
つまり1/4以上居住用なら住宅用地の軽減措置があります。
200㎡までを小規模住宅用地
200㎡を超える部分を一般住宅用地
住宅用地ではない宅地を非住宅用地といいます。
200㎡を坪に換算すると60.5坪になり、一般的な住宅ならだいたい収まるのではないでしょうか。
昔は②の併用住宅だったけど、今は①の専用住宅のように使ってるわとか、
全てを事業用に使用していたが、今は居住していて1/4以上居住スペースだという方も当てはまります。
居住用とは人が住むことを前提にしているので事業用アパート、マンションも当てはまりますよ。
①の専用住宅と②の併用住宅には補正がありまして以下のとおりとなっています。
補正率を見ますと、1/2以上なら1.0(100%適用)なので、廃業前から1/2以上居住部分なら全てに軽減措置が当てはまり固定資産税の変更はありません。
では、1.0以下の土地はどうなのかというと、例えば3階建てで1/3が居住用部分なら補正率は0.5で、敷地の半分に住宅用地の軽減が適用され、残り半分は非住宅用地となります。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税といった税金を計算する上で基準となる価額で、土地と家屋それぞれの評価額をいいます。
総務大臣の定めた固定資産評価基準に基づき路線価を元に土地の形状に応じて計算されます。
宅地においては公示価格の70%が目安とされます。
評価額は3年ごとに見直され、次は2021年です。
固定資産評価額などを確認しよう(納税通知書の見方)
毎年1月1日に所有している不動産にいて4月~6月に納税通知書が送られてきますが、課税明細書が添付されています。
こちらは東京23区の課税明細書です。各自治体で様式が様々ですが、内容とか単語にそれほど違いはないかと思います。
価格が固定資産税評価額で、固定課税標準額が軽減措置後の固定資産税課税標準額になります。
同じく、都市課税標準額が軽減措置後の都市計画税課税標準額となります。
課税標準額に固定資産税の1.4%、固定資産税の0.3%を乗じると税相当額が算出されているのがわかりますね。
現状地積の内訳を見ると、住宅用地の減税措置(小規模住宅用地、一般住宅用地、非住宅用地)の内訳地積がわかります。
廃業した場合の固定資産税が安くなる訳
今までの説明から、住居部分が多くなるほど全ての土地に軽減措置が入るのがおわかりだろうか?
住居部分1/4~1/2だと適用率が半分であり、残りは非住宅用地とされ固定資産税評価額に1.4%乗じる計算になる(負担水準の計算除く)。
または事務所だったところをリフォームなんかして居住していないだろうか?全部の土地が非住宅用地となり軽減措置はされていない。
今回の記事も仕事で80代お爺さんの不動産売買に関わってのことだが、60代で事業を閉じてから建物の1/2事務所になっているところを居住用として住んでいた。場所はとてもいい場所にあり、地価も高い。10何年も「倉庫・事務所」として登記された非住宅用地としてバカ高い固定資産税を年金でずっと払っていたのだ。
自治体にまずは相談しましょう。税額が変わります
店舗、事務所、倉庫など事業用と思われる用途になっていたならば、まずは、自治体の資産税課税務課に用途変更があることを相談しましょう。
相談により固定資産税の変更がされるならいいですが、「用途変更をしてください」と言われたら土地家屋調査士に相談してください。
居宅部分面積を計算し直し、表題部の種類を変更登記します。
住宅用地の特例が適用、または補正率が変わり減額されます。
土地家屋調査士へ手数料はかかりますが、それ以降は毎年減額された固定資産税になりますので手数料分はいずれ取り戻せます。
80代のお爺さんの手数料として払う分は来年一年目の固定資産税からすぐ取り戻せる計算となりましたので、説明後すぐ手続きに入りました。
住宅ローンの返済額、返済期間、頭金ってどのくらいにしてるの?データを見てみた
住宅ローンの返済額、返済期間、頭金ってどのくらいにしてるの?
業者向けの雑誌を最近読みました。
タイトルはこれ。
住宅ローンは26年で借りて15年で完済という事実
中身はざっくり説明して住宅ローンの不安を解消するためにデータを活用して安心してもらい、住宅を購入してもらいましょうって記事です。
体感でいうならば、年数が少なすぎると思いながら読みました。その雑誌によると自己資金比率(頭金)も【分譲マンションの平均取得価格は4,192万円で、1,796万円は自己資金である(記事より)】に疑問が湧いてたまりません。
住宅販売に関わる データを探して本当なのか検証してみた。
「平成29年度国土交通省住宅市場状況調査報告書」を拝見。
報道発表資料:「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」の修正について - 国土交通省
この報告書は注文住宅、分譲住宅、中古、リフォーム、賃貸のデータに分かれており、406ページもあるので抜粋していきます。
住宅購入をお考えならば参考になるので是非一読して下さい。住宅の様々なデータがわかります。政府がこんなデータ集めてるというお仕事の内容もわかります。
ローン返済期間から
地方だと土地買って、注文住宅を建てる場合が多いのですが、注文住宅のデータを抜粋するには多すぎるので割愛させて頂き、分譲で抜粋してみます。
最近は地方でも分譲住宅人気です。都会のマンション派にも参考になるのではないでしょうか。
おやおや…?平成29年度で35年以上のローンを組む割合が一番多く、平均にしてもどちらも30年前後になりますね。
すでに雑誌のタイトルと数字がズレていますが続けます。
年収におけるローンの負担率(返済負担率)はどうだろう
返済負担率とは世帯年収におけるローン返済額の割合のことをいいます。
数字を見ますと、17~18.2%と負担率をなかなか抑えているのがわかります。
ちなみに銀行の審査基準では年収400万以上で返済負担率35%まで貸してくれたりしますが、かなりキツイ生活になってしまうので不動産建築関連会社にのせられることなく考え直しましょう。
購入資金と自己資金、自己資金比率のデータ
ここも記事とデータが違いますね。違う理由は一次取得者と二次取得者のデータです。
一時取得者とはちゃんとした定義があるわけじゃありませんが「初めて住宅を購入する者」です。
二次取得者とは「2回目以降、もしくはセカンドハウスなどの追加購入する者」です。
一次取得者の割合は平成29年度で全体の85.1%とのこと。
二次取得になると一回目の家の売却資金を充てれることもあって自己資金比率が上がります。
記事のデータ元は1回目も2回目もセカンドハウスもまとめたデータなので自己資金比率が上がってしまっているのですね。
ローンを組むのに躊躇している人の為の記事なら一時取得者で見るべきです。
つい最近ニュースでSMBCコンシューマーファイナンスのアンケートで【30~40代の23.1%が貯蓄0】に衝撃を受けましたが、自己資金比率(頭金)の額が1,000万円前後なのを見ると、住宅資金に入れて貯蓄が少ないっていうのもあるのかな?と思った次第です。結婚して住宅購入してに重なっている年齢ですから。
ライフプランを作成するにあたって、なるべく毎月返済額を減らしたいなどの理由で貯金を吐き出すのも気持ちはわかるのですが、0円になるまではお勧めしません。病気などで働けなくなった場合、現金は必要です。
完済までの平均返済期間はどうなの?
「完済債権の平均経過期間」は国交省のデータはなく、住宅支援機構を参照元にしました。
住宅支援機構では金融機関にアンケートを取り、調査をしています(フラット35除いたデータ)。
10年以下と15年以下を合わせると65.1%にもなり、大多数の方が短い年数で完済していることがわかります。
完済期間は合ってましたね!
各家庭の収入も支出も家族構成もバラバラですので、平均なんていうものは当てにならないとは思いますが、大きい借金を負うのですから、参考にしてもらえると嬉しいです。
完済までの期間ですが、当初ローンを組んだ期間よりもぐっと短いのは住宅借入金等特別控除が大きく、控除の為にわざと10年は繰上返済しない方もいますし、終了してしまうと体感的にもわかるほどにキツイと感じ早く返してしまいたくなるのもあるかと思います。
シュミレーションにもよりますが、それほど住宅借入金等特別控除というものは大きいのです。
住宅借入金等特別控除というものは所得税の計算上、所得税額が最終的に出た算出税額から控除される「税額控除」と言われるもので、控除しきれないと住民税からも控除されます。
雑誌の記事はデータ元によるから、鵜呑みにしないこと
業者向けの雑誌なので、一般の方には目にしないものです。
不動産業界というものは、意外にアナログでして、今時FAXで送ってと言われちゃったりすることは多々あります。
というか銀行すらFAXで送れっていうんですよね…。
アナログな人が多い業界ですので、雑誌を元に安易な営業をして無理なローンを組ませちゃったりする人に気を付けて下さい。
年金受給で60歳前半に多い勘違いを指摘する。その年金貰えるから手続きをしよう。
FPは毎年法改正、税制改正の度に6分野のアプデをしなければならない。
知識を深めたい分野や弱い分野のセミナーをよく受講しています。
受講した講師の中に年間150件年金セミナーを開催してる講師プロ(一般の方向けが多いそうな)がいて、
「勘違いでものすっごい多いのは現在60歳前半の方が年金貰えるって知らないことです。繰上でしか貰えないと思ってるのです。」
私も勘違いしてる人がたまにいるなーと思っていましたが、一般の方向けに数こなしてるプロ講師がいうのだから間違いないのであろう。
60歳前半の方の話なので、当てはまらない方は興味ないでしょうが、60歳前半のご家族がいたら教えてあげましょう。
そんな勘違いを伝えます。
年金は65歳から?いいえ違います
仕組みも計算も難しいですが、まずは今日のブログで頻繁に出る専門用語を覚えて頂きたい。
繰上=年金を65歳より前倒しして受給する
繰下=年金を65歳より後にして受給する
国民年金=老齢基礎年金=1階部分(全部同じことです)
厚生年金=老齢厚生年金=2階部分(全部同じことです)
厚生年金=特別支給の老齢厚生年金(今日のメインはココ)
そう、厚生年金は2つあるのです。
なぜ同じことなのにいくつも単語があるのか?遺族年金、障害年金も組み合わせると、各個人で違ってくるから単語が変わってしまうのです。
公的年金の仕組みと該当者
上記のような図はテレビでもよく見るので、わかる方が多いと思います。
公的年金は国民年金+厚生年金の2階建てです。
会社に所属しているならば天引きになっているのですが、勘違いの一つに「厚生年金しか払っていない」と思っている方がいるのですね。
給料明細が厚生年金もしくは社会保険料になっているから。
記載が厚生年金なら「国民年金+厚生年金」。
社会保険料なら「国民年金+厚生年金+健康保険料」。
扶養家族の分も全部含めて払っています。
老齢基礎年金の基本的な計算式
780,100円は今現在(平成31年度)の老齢基礎年金満額の金額です。
480カ月というのは12カ月×40年。
保険料納付済み期間というのは未加入・未納期間があれば減少します。
・原則10年以上払うことで年金は受給できる。(満額じゃないことに注意する。あくまで払った期間であり、満額は40年です。ここも勘違いしてる人がいる)
・支給開始は65歳。
・死ぬまで受給できる。
老齢厚生年金の仕組みをなるべくわかりやすい図にして計算してみる
①の老齢厚生年金と②の特別支給の老齢厚生年金があるのです。
そして①と②は全く別の年金なのです。
今回のブログの結果を先に言えば、「年金って65歳から貰えるもので、65歳より先に貰うのは繰上受給だと思っていた。」は勘違いである。②の特別支給の老齢厚生年金に該当する今60歳前半の方はとにかく早く手続きして貰えってことです。
もちろん繰り下げもありません。
繰下げがないっていうのは下げたからといって年金額上がるわけじゃないのです。
貰える金額が変わらないなら今すぐ貰うべき年金なのです。
念のため所得税と住民税は今回詳しく説明していません。
平成15年の3月と4月で計算の切り替えがあるのですが、平成15年3月まではボーナスから社会保険料を徴収していなかったのです。そして平成15年4月からボーナスからも社会保険料を徴収し始めました。「月額」と「報酬額」の違いです。よく見ると乗率も違うののがわかりますか?ボーナス徴収分があるので乗率を下げたのです。年間にすると年金額が変わらないように乗率で調整されているのです。
この公式じゃわかんねーよ!と思うのは無理もないので例を上げます。
老齢厚生年金計算例
【被保険者期間】
~平成15年3月まで324カ月(27年)+平成15年4月~156カ月(13年)
【平均標準報酬月額】35万円
【平均標準報酬額】 45万円
(35万円×7.125/1000×324カ月)+(45万円×5.481/1000×156カ月)=1,192,741円
ちなみにこの平均額はどこからきているのかというと、日本人の平均的な報酬額らしくいです。これに老齢基礎年金満額780,100も合わせると1,972,841円
さらに妻の老齢基礎年金満額780,100を足すと2,752,941円
月で割ると約23万円になります。
あれ?23万ってなんかよく聞くなと思ったそこのあなた。
これが厚生労働省発表の金額でありテレビ雑誌など連呼されている夫婦で23万円の根拠の計算式です。
②の特別支給の老齢厚生年金とはなんなのか?
思い出してみましょう。
そういえば年金って昔60歳から貰えてたよなぁということを。
国は65歳に設定した当時、60歳から貰えてた年金が65歳からになったといって国民は納得できないだろうと思い、受給年齢を調整することにしました。
60歳から65歳未満の間、支給年齢を徐々に引き上げ特別に支給しているのです。
その部分が特別支給の老齢厚生年金です。
報酬比例部分=特別支給の老齢厚生年金にあたります。
報酬比例部分が65歳で厚生老齢年金にスライドしているのがわかりますか?
つまり、老齢厚生年金の計算で出した金額が特別支給の老齢厚生年金にあたるのです。
先程の計算例の1,192,741万円というやつです(金額は各個人違います)。
特別支給の厚生老齢年金を貰えると気付いたら請求する手続きをしよう。
誕生日該当してる!
えらい勘違いしてる!
と気づいたら年金請求しましょう。
step1: 平成31年(令和元年)なら62歳の方は誕生日がきたら該当しますね。
「年金の請求書」が誕生日の3か月前に日本年金機構から届くので手続きしましょう。
step2: 勘違いしてて繰下するからと年金の請求をしなかった場合、65歳の誕生日の3か月前に65歳から貰える「年金の請求書」が届きますが、特別支給の老齢厚生年金の請求がされなかったことが書いています。ここで請求すると通常の年金と一緒に貰っていなかった特別支給の老齢厚生年金が貰えます。
step3: 65歳はとっくに過ぎてて繰下するからと請求してなかったよ!という方は請求の時効は5年間です。今すぐ年金事務所に問い合わせ請求しましょう。