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寒いとこ在住のファイナンシャルプランナーです。FPならではの「年金&保険&税金&金融&不動産&相続贈与事業承継」がからんだことをブログにしてみます。

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配偶者居住権って節税できちゃうの?

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前々回のブログで民法新設の配偶者居住権の仕組みを上げてみましたが、今回は気になるお金の話。税金や評価方法について上げてみる。

配偶者居住権の仕組みについては過去ブログのこちら。

www.fpchanne.com

 

結果からいうと、配偶者居住権は配偶者が死亡すると消滅するでのだから、一次相続時に故意に配偶者居住権を発生させて、配偶者の税額軽減で相続税を減免後二次相続で消滅させると配偶者居住権相当が額が節税できちゃうんじゃないか?と思う疑問を検証しよう。

 

 

 

配偶者居住権って節税できちゃうの?

相続税に関しては配偶者はとっても優遇されている理由

一次相続で節税するには配偶者の税額軽減を使うのがいい。でもそうすると二次相続の相続税が膨らんでしまう。

 

ちなみに一次相続とは、例えば夫死亡→妻と子への相続のこと。

二次相続は妻も死亡→子への相続のこと。

 

配偶者の税額軽減とは下記のいずれかまで金額まで相続財産を取得しても課税されないこと。

・課税価格合計額の配偶者の法定相続分

・1億6000万円

つまり、1憶6000万円までの遺産なら相続税払わなくていい(申告必須)。

これを使えば一次相続でがっつり節税できることがわかりますね?

ただデメリットとして家庭ごとにシミュレーションしないと確かなことは言えないけど、二次相続でがっぽり相続税が増える罠ができちゃう。

 

配偶者居住権の評価方法

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配偶者居住権は建物に2つの権利と土地に2つの権利がつくことになる。

評価方法は下記の計算になる。

①配偶者居住権

建物の相続税評価額ー建物の相続税評価額×(残存耐用年数ー存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

②負担付建物の所有権

建物の時価―①

 

③敷地利用権

土地の相続税評価額ー土地の相続税評価額×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

 

④負担付敷地の所有権

土地の相続税評価額―③

 

配偶者居住権の具体例

なんのこっちゃわからないと思うので事例を上げる。

 

事例 

80歳の妻が築30年の木造自宅を相続した。相続税評価額が建物1,000万円、土地3,000万円である。妻が終身の配偶者居住権を取得した。

・建物の残存耐用年数  3年(木造)→33年ー築30年 ※1

・配偶者の年齢に応じた存続年数  11年(平成30年発表厚生労働省簡易生命表) ※2

・利率3%、年数11年の複利現価率  0.722 ※3

 

※1 木造の残存耐用年数は22年(法定耐用年数)×1.5倍=33年

鉄筋コンクリの残存耐用年数は47年(法定耐用年数)×1.5倍=70年

※2 厚生労働省簡易生命表(余命)はhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/index.html

※3 国税庁複利表はhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/08/09_2.htm

 

①配偶者居住権

1000万円ー1000万円×(3年ー11年)/3年×0.722

=1000万円ー1000万円×0×0.722

=1000万円ー0円

=1000万円

 

②負担付建物の所有権

1000万円ー①=0円

 

③敷地利用権

3000万円ー3000万円×0.722=834万円

 

④負担付敷地の所有権

3000万円ー③=2166万円

 

上記の事例は一番ありそうな、「高齢な妻に相続発生して、長い年月住んだ自宅がある場合」のパターンです。

 

具体例からのポイント

・自宅の残存耐用年数が短ければ短いほど

・配偶者の平均余命が長いほど

配偶者が取得する居住権の割合は大きくなる=所有者の所有権の割合が少なくなる

 

結局節税できちゃうの? 

 まだ施行前なので現時点まで発表されていることだけを踏まえると、

・二次相続で配偶者居住権は消滅する

・消滅するっていうことは二次相続時相続税かからない

・一時相続で配偶者居住権の評価額に対して相続税はかかっているし、負担付所有権にも相続税はかかっている

・一時相続で申告して配偶者の税額控除を適用したならば配偶者は相続税を払わなくていい

ということは?配偶者居住権分は二次相続で払わなくていいのでは?

ということになってしまうね?

 

この制度穴あるわー。

このまま国税が黙ってるわけないわー。

と思ったしだいであります。

 

結論

施行されるまで節税できるかどうかわかりません!