仕組みを知って家計費を減らそう。遺族年金編
遺族年金という言葉は知っているけど、詳しい仕組みを知らないのではないだろうか?
遺族年金を知ると民間の保険料への考え方が変わると思います。
保障という安心が欲しいのは、将来のお金の不安からくるものです。
不安は知ることで解消されます。
年金=65歳とイメージされるかと思いますが、年金は老齢年金だけではありません。
亡くなった方に生計を維持されていた、残された家族には遺族年金が支給されます。
そんな遺族年金の記事になります。
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
仕組みを知って家計費を減らそう。遺族年金編
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金=国民年金のことです。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入して、社会全体で支え合う公的制度です。
対象者は第1号被保険者と言われ、20歳以上60歳未満の自営業、農林漁業、自由業、フリーター、学生、無職の人など。
保険料は定額保険料16,340円/月(平成31年度)です。
国民年金は平成31年度で16,340円/月と説明しましたが、16,340円×12カ月×40年だと7,843,200円になります。平成31年度の老齢基礎年金の満額は780,100円ですが、65歳から95歳まで30年受給したとして23,403,000円になります。2,000万円足りない問題で騒がれていますが、約330%になる投資だと思うと私としてはスゴイと思うのですよね。
国民年金に加入している人が亡くなった場合
①死亡によって生計を維持されていた子供
②子供のいる配偶者
上記対象者が受給できます。子供は18歳到達年度末までの未婚の子(1.2級障害を持つ場合は20歳)。
子供がキーワードになってるのがわかりますか?
つまり子供の養育のための年金なのです。
子供がいない配偶者は受給できません。
遺族基礎年金の年金額=780,100円+子の加算額
加算額=224,500円(1人目、2人目)で、3人目からは1人につき74,800円の加算例えば子供が2人いたとして、1,229,100円/年(102,425円/月)受給できることになりますね。
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金=厚生年金のことです。
対象者は第2号被保険者にあたり、厚生年金や共済組合などに加入している会社員、公務員など。
受給対象者は遺族基礎年金よりも広く
厚生年金に加入している人が、
(1)在職中に死亡した場合
(2)在職中に初診日のある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合
(3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合
(4)受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合に、遺族に支払われる年金です。受けられる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母(夫、父母、祖父母においては死亡時において55歳以上であることが条件であり、支給開始は60歳から)。
遺族厚生年金には短期要件(1)(2)(3)と長期要件(4)があり計算が異なります。
①配偶者と子②父母③孫④祖父母の順に支給され、先順位が受給する場合には後順位の者は受給できません。
遺族厚生年金は子供のいない妻も受給できますが、夫死亡時の妻の年齢が30歳未満で子供がいない場合、5年間の有期年金になります。
そして遺族基礎年金と併給できます。
短期要件の該当者はわかりやすい(現役で厚生年金支払っているor厚生年金支払い中の傷病により死亡or障害年金受給者)です。長期要件の該当者はわかりにくいですよね。長期要件は昔サラリーマンの時期があり、国民年金(基礎年金)を最低25年払っていた人のことです。サラリーマン歴は1カ月でも構いません。
厚生年金の計算式
短期要件と長期要件がわかったところで結局いくらなの?という話ですが
①平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの被保険者月数
②平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の被保険者月数
短期要件=(①+②)× 3/4 × 300/被保険者月数の合計*
長期要件=(①+②)× 3/4
*300月未満の時乗じる
①②ってこれ何の数字?と思う方は過去記事にて説明しています。
年金受給で60歳前半に多い勘違いを指摘する。その年金貰えるから手続きをしよう。 - FPちゃんねる
上記の短期要件計算式で300がありますが、これは厚生年金保険に加入して1年ほどで亡くなった場合でも特別に300月(最低保障)加入したとして年金額が計算されます。
長期要件では厚生年金被保険者期間を実月数で計算します。つまり厚生年金を払った月分でしか計算されません。
わかりにくい単語と数字を連ねましたが、平均標準月額もだいたいどのくらい働いたかもわかんねーよと思うのはごもっともでして、ねんきん定期便を確認しましょう。
3の年金額に2の加入期間をチェックしましょう。
例えば短期要件で240月で夫が死亡したとします。3の年金額は35万でした。
350,000×3/4×300/240=328,125円/年
遺族基礎と併給できるので、子供2人いる妻は1,229,100+328,125=1,557,225円受給できることになります。
遺族年金のシュミレーターはこちらが優秀
中高齢寡婦加算とは
子のない妻には遺族基礎年金が支給されないので、それを補うために遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算というものが受給できます。または子が18歳以上になって遺族基礎年金が止まった場合も当てはまります。寡婦とは夫に先立たれた後に再婚していない妻をいい、妻に先立たれた夫には適用しません。
②夫が長期要件に該当する場合、夫の厚生年金被保険者期間が20年以上で、短期要件の場合は被保険者期間は問いません。
平成31年度中高齢寡婦加算は585,100円で妻が65歳になると自分の老齢年金を受け取れるようになるので停止します。
イメージとしては下記を参考にしてください。
上記の図で65歳以降の経過的寡婦加算という単語が出てきますが、これは昭和31年4月1日以前生まれの人は制度新設が遅かったゆえに老齢基礎年金を満額支払っておらず、中高齢寡婦加算が終了して自分の老齢基礎年金を受給できるようになると、中高齢寡婦加算より減額された額になってしまいます。この差を埋めるための加算が経過的寡婦加算といわれます。
遺族年金結局いくら?
国民年金加入者
子供1人(子18歳まで)1,004,600円/年
子供2人(子18歳まで)1,229,100円/年
上記に加えて、厚生年金加入者または加入者だった者は被保険者加入月数と平均報酬に左右されるのでシュミレーターを使ってください。
子供がいるならば生活費の足しになるような額にはなりますよね。持ち家があるなら団信保険をかけているので住宅ローンは終了します。遺族年金額と現在の貯蓄、妻の予想所得を計上。そこから生活費と教育費その他かかるであろう費用を引いて足りない分で生命保険の保障額を決めます。
本来なら保障額というものは緻密なライフプランの上で決めるものです。年単位で出費する額も違うのでキャッシュフローの作成も必要です。
生命保険の保障額はそうした算出の元で作ってくれる営業マンから、自分にあった保険商品を選んでください。
ちなみにライフプラン作成は保障額を決める際に、保険会社のFP資格者が無料で作成してくれたりします。または保険会社のソフトで作成したりもしますが、そのソフトがどういう計算をしているかは分かりません。だいたいのソフトはなぜか平均値で計算するので全く自分の家計には当てはまりませんが。