雇用保険の教育訓練給付について知ってみよう。支給対象者や講座まで2019年版。
給与明細を見ると雇用保険が天引きされている(労働者負担0.003)かと思うが、この雇用保険がどのように運用されているかご存知だろうか?
雇用保険=失業した場合の失業給付と思い浮かべるけども、実はかなり広範囲なことをしているのです。
日本という国は制度を知らないと、とことん損をするだけ。
そんな雇用保険で行われる教育訓練給付について掘り下げて、記事を書いてみた。
教育訓練給付は聞いたことあるけど失業中の話でしょ?と勘違いしてる方も多い。在職中でもOKだから「あの資格欲しいんだよー」「あの予備校行きたかったんだよー」と思ってる方は参考にどうぞ。
雇用保険の教育訓練給付について知ってみよう。支給対象者や講座まで2019年版。
雇用保険の概要
まずは雇用保険で何を受給出来るか、そしてどんなことをしている社会保険なのか図を見てみよう。
給付、手当、各種支援訓練があることが上記図でわかるかと思う。育児休業や介護休業給付は健康保険じゃなくて雇用保険。
教育訓練給付とは何か
雇用の安定と再就職を促進させるために、教育訓練受講の支払いの一部が支給される。国の指定を受けた機関なら資格取得のために通う予備校や学校、通信教育までOK。
教育訓練給付には一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金があって、支給額の算定基礎になる教育訓練経費は入学料と受講料の合計です。交通費やパソコン等の機材、資格取得受験料、訓練機関の行事費用などは算入できません。
教育訓練給付を受けたいことを訓練機関へ前もって伝えるように。途中からでは給付は受けられない。特に専門実践教育訓練給付はハローワークに事前書類申請もある。通い始めてから「そんな制度あるんだー、申請しよっ」と思っても遅いわけで。
受講開始日前1年以内にキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタント)が行うキャリアコンサルティングを受けた場合は、その費用を加えることができる。ただし、上限2万円まで。
一般教育訓練給付とは
簿記検定や介護職員初任者研修、TOEICや普通免許などまで職業能力アップを支援する教育訓練。
教育訓練施設に支払った金額の20%が支給される。ただし、支給額の上限は10万円で教育訓練経費が4,000円(税込)を超えない場合は支給されない。
すべて当てはまる人が対象
・在職者、または離職した日から1年以内(妊娠、出産、育児、疾病等で教育訓練給付の対象機関が延長された場合は最大4年以内)。
・雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回に限り、1年以上)である者。
・前回の教育訓練給付受給から3年以上経過している。
・所要のカリキュラムを受講の上、受講修了することが必要。
・所定の期日までにハローワークで支給申請手続きを行う。
なお、支給要件は受講開始日で適用できなくなったり、雇用保険被保険者の年数が不明だった場合など、本当に自分は支給要件に合致しているのか、支給要件照会で確認することができる。「教育訓練支給要件照会票」に記入し本人身分証明書と共に、ハローワークへ行くか郵送で確認できますよ。
一般教育訓練の申請手続き
受講者本人がハローワークに提出します(受講修了日翌日から1カ月以内)。
提出書類は
①教育訓練給付給付金支給申請書
②教育訓練修了証明書
③領収書
④キャリアコンサルティング費用を支給する場合は「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」「キャリアコンサルティングの記録」「キャリアコンサルティング実施証明書」
⑤本人・住所確認書類(運転免許証、住民票、マイナンバーカードなど)
⑥マイナンバー確認書類
⑦身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
⑧雇用保険被保険者票
⑨教育訓練給付適用対象期間延長通知書(適用期間の延長をしていた場合)
⑩返還金明細書(領収書が発行された後に、教育機関から還付された場合に教育機関が発行する)
⑪振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード(番号確認のため)
⑫教育訓練経費等確認書
書類が足りなくてハローワーク往復しないようにチェックしましょう。
専門実践教育訓練とは
一般とは違い、専門的な知識がいる「業務独占資格」「名称独占資格」といわれるもので、例えば看護師、測量士、あんまマッサージ指圧師、美容師、調理師、保育士など。
その他、高度IT分野、一定以上レベルの情報通信技術、高度専門職人など。
訓練期間は原則1年以上3年以内と、長期の訓練期間が必要となるものです。
1年間の上限額が40万円で、最大3年までなので上限額が120万円となります。
修了後の168万円も3年の上限額なので、訓練期間が1年ならば56万円ですね。
すべて当てはまる方が対象
・在職者または離職した日から1年以内(妊娠、出産、育児、疾病等で教育訓練給付の対象機関が延長された場合は最大4年以内)。
・雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回に限り2年以上)である者。
・所要のカリキュラムを受講の上、受講修了することが必要。
・所定の期日までにハローワークで支給申請手続きを行う。
気を付けることは受講1カ月前までに、下記のことを行ってください。
①受講開始日前にキャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受ける。ただし在職者の場合は、勤務先から専門実践教育訓練給付を受講することを承認したことを証明される場合には必要ありません。
②キャリアコンサルタント発行のジョブカードを作成する。
③ハローワークで配布する「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」をジョブカードと一緒にハローワークに提出する。
受講前の提出書類
上記の1カ月前書類の他に
④本人住所確認書類(免許証・住民票・マイナンバーカードなど)
⑤身分確認書類(免許証・マイナンバーカードなど)
⑥雇用保険被保険者証
⑦教育訓練給付適用対象期間延長通知書(適用対象期間の延長をしていた場合)
⑧振込先金融機関の通帳またはキャッシュカード(番号確認のため)
⑨ 証明写真2枚
さらに支給申請の提出書類
専門実践教育訓練中は受講開始日から半年ごとの末日の翌日から1カ月以内が支給申請期間になる。つまり半年ごとに支給してもらえるんですね。
受講修了後は1カ月以内に申請してください。
目的の資格を取得し、かつ講習修了から1年以内に雇用者された場合は追加給付を受けることができる。雇用されてから1カ月以内に申請してください。
①教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者票
②教育訓練給付金支給申請書
③受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書
④領収書
⑤返還金明細書(領収書が発行された後に、教育機関から還付された場合に教育機関が発行する)
⑥教育訓練経費等確認書
⑦資格取得したことにより支給申請する場合は、資格取得を証明する書類
教育訓練支援給付金も当てはまるかどうか確認してみよう
初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給。受講途中で離職した場合は支援給付対象にならない。
訓練受講をさらに支援するため、雇用保険の基本手当の日額に相当する額の80%となる「教育訓練支援給付金」を支給される。(基本手当とは一般的に失業手当と言われているもの)
基本手当の給付を受けることができる期間は、教育訓練支援給付金は支給されない。基本手当の支給が終了したあとは給付を受けることができる。
つまり基本手当と支援給付金は併給できない。
対象講座一覧
ありとあらゆる多彩な教育訓練機関や資格がわかります。目当ての資格が訓練講座に当てはまっているか、自宅から近い訓練機関住所、目的の通信教育があるかわかります。ハローワークでももちろん教えてくれますよ。
検索システムサイトには一覧もあるので、どんな資格があるのかな?と思ったら一覧を見てはどうでしょう?62ページもあるけど。
詳しい教育訓練講座の中身が知りたいときは、各教育訓練施設に問い合わせしてください。
給付を受けるにはとっても煩雑だけど
給付金なり補助金なり国からお金を貰うっていうのは手続きがとても煩雑で、書類が足りなくて何回も往復しちゃうなど面倒なものです。なんでこんなに面倒くさいのーっと思っても、やらないことには給付されません。国のお金なのだからキチンとやりなさいということなんでしょう。
訓練給付のパンフレットには最後にこんなことも書かれています。
「支給申請は正しく行ってください。偽りその他不正行為により教育訓練給付金の支給を受け、または受けようとした場合は、教育訓練給付金を受けることができないばかりでなく、不正に受給した金額の返還と更にそれにくわえて返還額の2倍の金額の納付を命ぜられ、また詐欺罪として刑罰に処せられる」
不正受給はつまり、給付額×3を払うことになる上に詐欺罪になるので、申請は正しく行いましょう。
ちなみに会社から資格取得の福利厚生費や手当が出てる場合は、その分を教育訓練経費から差し引いて申請する必要があります。
※今回の記事は平成29年12月31日前に訓練受講開始した方に金額等当てはまりません。