雇用保険と副業と兼業と失業、基本手当受給について
最近わたしの周りでは副業をしている方が多くなってきた。
「働き方改革」の一環で2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
を公表し、政府としても副業をやるべきと認めたことによるものといえる。
前回の記事で教育訓練給付を伝えたけれど、資格を取ったならば趣味を超えて所得にしたいのは当たり前のことだと思う。
すでに副業をしていたり、副業所得が多くなってきたから本業をやめようかなと思っている方にむけて記事にしてみました。副業はしてないけど本業を辞めた方にも参考にできればと失業手当を濃い目にしていきます。
雇用保険と副業と兼業と失業、基本手当受給について
一般的に雇用保険といえば失業手当といわれているものを思い浮かべると思う。
雇用保険って何をしているもの?というのは前回の雇用保険概要図を要チェック。
雇用保険の失業手当って?
失業、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活費を心配しないで、1日も早く再就職していただくために支給されるもの。
一般的に失業手当(失業給付)=基本手当という(上記ブログ概要図の一番上になるとこ)。
①②③満たして雇用保険の被保険者となる
①事業主と雇用関係にある
②週の所定労働時間が20時間以上ある
③継続して31日以上の雇用見込みがある
雇用保険の被保険者かどうかは、給与明細を見ると「雇用保険」が天引きされているからわかる。短期や短時間は被保険者にならない。請負、委任、自営業も被保険者にはならない。
受給要件(①②満たすこと)
①離職日以前2年間に雇用保険被保険者期間が通算して12カ月以上ある(倒産・解雇の場合は離職日以前1年間の内、6カ月ある)。
②求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にある。
受給期間は原則離職翌日から1年間で、たとえ所定日数が残っていても受給期間を過ぎると基本手当支給はない。受給資格決定日から7日間の待期期間があって、その間は支給されない。
基本手当日額はいくら?
賃金日額×賃金日額に応じた率
賃金日額=原則として被保険者期間として計算された最後の6ケ月間に支払われた賃金を180で割って算出する。
賃金日額に応じた率=50~80%(60~64歳については45~80%)
ちなみに基本手当日額には上限額と最低額が決まっている。
【賃金日額の上限と下限】
30歳未満 | 30歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 | 最低日額 |
---|---|---|---|---|
6,750円 | 7,495円 | 8,250円 | 7,083円 | 1,984円 |
給付日数 はどのくらい?
【自己都合・定年の場合の所定給付日数】
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|
一般の離職者 | ー | 90日 | 120日 | 150日 |
【倒産・解雇等の場合の所定給付日数】特定受給資格者、特定理由離職者の一部
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自分が特定受給資格者、一部特定理由離職者に当てはまるかどうかは下記リンクを参考に。
ハローワークインターネットサービス - 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
基本手当自動計算サイトならこちらがいいかも。
副業をしている場合の雇用保険はどうなっているの?
雇用保険は主たる給与の1社のみ適用される。パートの方は2社で雇用保険適用してしまう方も中にはいるかと思うけど、主たる会社のみになる。 2社それぞれの週の所定労働日数が20時間未満だと被保険者なれない。
副業をしてる人が本業を失業した場合の手当はどうなるの?
「自己の労働による収入」がある場合は基本手当の減額あるいは不支給になる。
自己の労働による収入とは、就職とはいえない程度の短時間就労で原則1日4時間未満のもの。雇用形態、請負、内職、自営業もOKだけど、ハローワークの職業紹介にすぐに応じることができないなどは、求職活動の意思がないとみられて基本手当は受給できない。
4時間未満の雇用でも雇用保険の被保険者になった場合や、求職活動しないで請負、委任、自営業に専念すると就職扱いになり不支給となる。
賃金日額の80%をラインに減額、不支給されます。
自己の労働があると、収入から1,294円(この額は改定があると変更する)の控除があり、差し引かれた分で計算される。超過額が多くなるほど基本手当は減額されて、賃金日額の80%と超えると基本手当は不支給となる。
イメージとしては下図を参照。
副業と基本手当受給のまとめ
基本手当だけじゃ生活費が足りなくて求職活動しながら少しでも収入が欲しい人もいる。
基本手当を受給するにはハローワークの紹介にすぐに応じることが出来なければならないという制限もある。
控除額が1,294円と平均時給の1時間分より多く差し引かれちゃう。
基本手当の上限額もあるし、賃金日額の80%という縛りもある。
賃金日額の80%ならば離職前の収入によるので一概には言えないけど、再就職を考えるならば基本手当の所定日数はひたすら求職活動をした方がいいのじゃないかと思える制度。
副業といっても毎日ではないし、基本手当日額より多いならばその日は収入が多い方を取ればいい。
離職前の賃金日額が高かった人は80%までの幅が広くなるのでシュミレーションをして副業収入を得てみよう。
副業をメインにしていくと決めて離職し、開業の為に事務所設営開始や登記、働き手を雇い入れるなどは就職に該当してしまう。その場合、「就職促進手当」を受けられる可能性がある。就職促進手当とは基本手当の受給資格決定後に、早期に就職が決定した場合受給できる手当。受給には様々な要件がある。
就職促進手当については長くなるので次回のブログで記事にします。
※この記事は2019.7.9に書きました。基本手当受給決定日で日数や金額が変更になる場合があります。