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寒いとこ在住のファイナンシャルプランナーです。FPならではの「年金&保険&税金&金融&不動産&相続贈与事業承継」がからんだことをブログにしてみます。

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住宅ローンの返済額、返済期間、頭金ってどのくらいにしてるの?データを見てみた

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住宅ローンの返済額、返済期間、頭金ってどのくらいにしてるの?

業者向けの雑誌を最近読みました。
タイトルはこれ。
住宅ローンは26年で借りて15年で完済という事実

中身はざっくり説明して住宅ローンの不安を解消するためにデータを活用して安心してもらい、住宅を購入してもらいましょうって記事です。
体感でいうならば、年数が少なすぎると思いながら読みました。その雑誌によると自己資金比率(頭金)も【分譲マンションの平均取得価格は4,192万円で、1,796万円は自己資金である(記事より)】に疑問が湧いてたまりません。

住宅販売に関わる データを探して本当なのか検証してみた。

「平成29年度国土交通省住宅市場状況調査報告書」を拝見。

報道発表資料:「平成29年度 住宅市場動向調査報告書」の修正について - 国土交通省


この報告書は注文住宅、分譲住宅、中古、リフォーム、賃貸のデータに分かれており、406ページもあるので抜粋していきます。
住宅購入をお考えならば参考になるので是非一読して下さい。住宅の様々なデータがわかります。政府がこんなデータ集めてるというお仕事の内容もわかります。

ローン返済期間から

地方だと土地買って、注文住宅を建てる場合が多いのですが、注文住宅のデータを抜粋するには多すぎるので割愛させて頂き、分譲で抜粋してみます。
最近は地方でも分譲住宅人気です。都会のマンション派にも参考になるのではないでしょうか。

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国交省住宅市場報告書「住宅購入資金返済期間」分譲住宅と分譲マンション

おやおや…?平成29年度で35年以上のローンを組む割合が一番多く、平均にしてもどちらも30年前後になりますね。
すでに雑誌のタイトルと数字がズレていますが続けます。

年収におけるローンの負担率(返済負担率)はどうだろう

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国交省「住宅市場報告書」より住宅ローン返済負担率 引用

返済負担率とは世帯年収におけるローン返済額の割合のことをいいます。
数字を見ますと、17~18.2%と負担率をなかなか抑えているのがわかります。
ちなみに銀行の審査基準では年収400万以上で返済負担率35%まで貸してくれたりしますが、かなりキツイ生活になってしまうので不動産建築関連会社にのせられることなく考え直しましょう。

購入資金と自己資金、自己資金比率のデータ

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国土交通省住宅市場状況調査報告書 一次取得者購入資金 引用

ここも記事とデータが違いますね。違う理由は一次取得者と二次取得者のデータです。
一時取得者とはちゃんとした定義があるわけじゃありませんが「初めて住宅を購入する者」です。
二次取得者とは「2回目以降、もしくはセカンドハウスなどの追加購入する者」です。
一次取得者の割合は平成29年度で全体の85.1%とのこと。
二次取得になると一回目の家の売却資金を充てれることもあって自己資金比率が上がります。
記事のデータ元は1回目も2回目もセカンドハウスもまとめたデータなので自己資金比率が上がってしまっているのですね。
ローンを組むのに躊躇している人の為の記事なら一時取得者で見るべきです。

つい最近ニュースでSMBCコンシューマーファイナンスのアンケートで【30~40代の23.1%が貯蓄0】に衝撃を受けましたが、自己資金比率(頭金)の額が1,000万円前後なのを見ると、住宅資金に入れて貯蓄が少ないっていうのもあるのかな?と思った次第です。結婚して住宅購入してに重なっている年齢ですから。

ライフプランを作成するにあたって、なるべく毎月返済額を減らしたいなどの理由で貯金を吐き出すのも気持ちはわかるのですが、0円になるまではお勧めしません。病気などで働けなくなった場合、現金は必要です。

完済までの平均返済期間はどうなの?

「完済債権の平均経過期間」は国交省のデータはなく、住宅支援機構を参照元にしました。
住宅支援機構では金融機関にアンケートを取り、調査をしています(フラット35除いたデータ)。

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住宅支援機構「2018年度_民間住宅ローン貸出動向調査結果」

10年以下と15年以下を合わせると65.1%にもなり、大多数の方が短い年数で完済していることがわかります。
完済期間は合ってましたね!

各家庭の収入も支出も家族構成もバラバラですので、平均なんていうものは当てにならないとは思いますが、大きい借金を負うのですから、参考にしてもらえると嬉しいです。

完済までの期間ですが、当初ローンを組んだ期間よりもぐっと短いのは住宅借入金等特別控除が大きく、控除の為にわざと10年は繰上返済しない方もいますし、終了してしまうと体感的にもわかるほどにキツイと感じ早く返してしまいたくなるのもあるかと思います。
シュミレーションにもよりますが、それほど住宅借入金等特別控除というものは大きいのです。
住宅借入金等特別控除というものは所得税の計算上、所得税額が最終的に出た算出税額から控除される「税額控除」と言われるもので、控除しきれないと住民税からも控除されます。

雑誌の記事はデータ元によるから、鵜呑みにしないこと

業者向けの雑誌なので、一般の方には目にしないものです。
不動産業界というものは、意外にアナログでして、今時FAXで送ってと言われちゃったりすることは多々あります。
というか銀行すらFAXで送れっていうんですよね…。
アナログな人が多い業界ですので、雑誌を元に安易な営業をして無理なローンを組ませちゃったりする人に気を付けて下さい。