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寒いとこ在住のファイナンシャルプランナーです。FPならではの「年金&保険&税金&金融&不動産&相続贈与事業承継」がからんだことをブログにしてみます。

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連帯保証人とは?民法改正もからめますよ

 

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引っ越しシーズンですねぇ。

そんなシーズンについて回る連帯保証人が民法改正になってます。

連帯保証人の意味合いと民法改正について書こうかなと。

 

借金の連帯保証人になんかならねーよと思っていても、連帯保証人をたてなくてはいけないことは身近にいっぱいあります。

例えるなら「賃貸契約」「自動車ローン」「住宅購入」「カード作成」「奨学金」「リース契約」「介護施設への入居」。

例えからわかる通り、一生に一度位は「連帯保証人になってください」とお願いする必要も出てくるわけですね。

 

 

 

連帯保証人とは?民法改正もからめますよ

連帯保証人と保証人の違い

お金を借りた人(主債務者)が返さない場合は、連帯保証人も保証人も代わりに返済しなくてはいけない。

でも連帯保証人は保証人と違って非常に重い違いがある。

 

連帯保証人と保証人の違い

 ・【催告の抗弁権】保証人であれば、貸した人(債権者)が請求してきたならば、先に本人に請求しろと主張出来る。が、連帯保証人は出来ない。

 

・【探索の抗弁権】保証人であれば本人が返済できる資産等があるのにも関わらず返済しないならば、本人の資産差押を強制執行しやがれ!と貸した人(債権者)に主張できる。が、連帯保証人は出来ない。

 

・【分別の利益】保証人が複数人いた時は、主債務者が返済できなくなった場合に人数で按分することができる。が、連帯保証人は1人で返済する。

以上のように、保証人は主債務者が返せなくなったし資産もなくなった場合に代わりに返済する必要があるというのに対して、連帯保証人は本人と同じ責任を負うことになる。

 

例えば、主債務者が返さなかったとか引落しにならなかったとして、主債務者にちょっと連絡がつかなかっただけで連帯保証人に請求しても全くOKというか合法。「え?本人に言ってよ」と反抗してもムダ。本人と同じ責任なんだから。

 

返せない&返さない本人より連帯保証人からがっつり回収しようと思うから、業者は保証人より連帯保証人にすることがほとんど。

 

連帯保証人の民法改正とは

あまりに重かった連帯保証人をちょっぴり救う改正になっております。

 

極度額(上限額)の定めのない個人根保証契約は無効

契約の時点で極度額(根保証)の金額設定を行い、連帯保証人の責任限度額を定めることになった。極度額を定めていない条項は無効で、明確に〇〇〇円と定めないといけない。逆に言うと極度額までは請求されちゃうから気を付けよう。

 

また、法人や個人事業主の融資に、事業に関与していない第三者が保証人になる場合は「公証人の確認を経なければいけない」ことになり、怠ると無効になることにもなった。

 

主債務者が連帯保証人へ資産の情報提供をしなくてはならない

連帯保証人をつける契約の場合は、主債務者から連帯保証人に対して、主債務者の財産状況を提供しなくてはならない。

つまり、私(主債務者)の財産はこれだけあって返せるから安心して連帯保証人になってくださいという根拠を提示しなくてはいけなくなった。

 

資産情報提供はどこまで開示しなければいけないの?というと「財産および収支」「主債務以外の債務の有無や金額、履行状況」

 

民法改正で使用する予定の契約書の雛形を見ると、主債務者の財産状況を把握しているかの連帯保証人のサインが必要な箇所があるから、サインを貰えなかったり契約書に条項がなかった場合は、無効や取り消すことが出来るのだろう。

 

特別な事情による保証の終了

保証人が破産したときや、主債務者または保証人が死亡した時はその後に発生する主債務は保証の対象外となった。

 こちらの保証の終了は死亡や破産で債権者の不利益が多いから、契約書の中身で色々縛ってくるんじゃなかろうかと予測。

 

主債務の履行状況に関する情報提供義務

保証人は、債権者に対して主債務者がちゃんと返済しているか確認することが出来るようになった。

保証人にはなったものの、返済しているのかしていないのか不安だよね。改正で直接貸している人に聞いて確認出来るようになった。

 

主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務

主債務者が返済してなくて遅延金やらで散々膨らんでから請求されても困るよね。債権者は喪失を知ってから2カ月以内に通知しなくてはいけなくなった。2カ月以内に通知しないと遅延損害金について保証債務の履行を請求することができない。

  

賃貸契約の連帯保証人と実務

賃貸契約の場合、主に2パターンです。

 

従来の連帯保証人を立てる契約

こちらの契約は民法改正もかねて契約書では根保証の極度額の設定や資産状況の確認チェックの契約書へ移行している。

 

極度額の設定では管理会社によるが、おおむね1年~2年分の家賃設定になっている。

なぜ1~2年分かというと、滞納する→裁判所に退去や強制執行の手続きには2~3ケ月分の滞納実績がいる→強制退去命令までさらに約半年→その間家賃が入ってこない。

さらに残存物の撤去や修繕費用に3か月~半年分プラスに弁護士費用等諸費用がかかるから。

 

もちろん泣き寝入りしないために給与の差押えもするプロ大家もプロ管理会社も存在するが、日本は居住権の厚い仕組みのため、連帯保証人を立てる契約ではなく、家賃保証会社を契約させるのが主流になっている。

 

家賃保証会社と契約するのが主流

保証会社によって家賃の50%~100%を初期に払う、1年に1回定額を払う、2年に1回定額を払うなど様々だが保証会社に保証料を払って、連帯保証人を立てない賃貸契約にしているのが主流。

 

SNSでは滞納しないのに今まで滞納なんかしたことないのになんで不動産会社が楽する為に保証料払わないといけないの?というコメントが溢れていることは重々承知しております。

一部の滞納する人に引っ張られてまともな人が割を食う感じになっていますが、入居1カ月目から滞納する人もいるし、今までキチンと払っていたのにいきなり滞る人もいます。仕事はキチンとしているのにゴキブリやネズミがいるような汚部屋にしている人は多々います。

 

と、個人のことを上げればキリがないのですが、一番のネックは日本の居住権が大きな障害になっていること。一度入居したら追い出すのに手順が必要で時間もお金も多額にかかることにつきるかと。

 

最近相談された出来事

10年以上前になった連帯保証人がいまさら請求されたっていう相談だったのだけど、根抵当だったからなのか、利息が膨れたからなのかわからないが1000万円請求されたそうな。

10年以上前のことだからそもそもサインした記憶もおぼろげだそうでとても困っていた。

今回の改正で連帯保証人がちょっぴり救済になっているけれど、それでも連帯保証人にならないようにしなければいけないのは変わらないよね。