相続人には固定資産税の課税を厳格にすることになったらしい話
2020年税制改正目白押し!
今年もたーくさんの税制改正があるよ。
新NISAも気になるけど、まだちょい先だから、今年から始まる気になること1つブログにしてみます。
不動産が相続に入っているならば、相続人には今年から住所氏名を申告する必要になるから覚えておくといいかもしれない。
相続登記が放置問題
固定資産税は毎年1月1日の所有者が納税義務者となる。
自宅を所有している人には見慣れた用紙の固定資産税納税通知書だけど、賃貸派にもこれからあるかもしれない納税通知書。
そう、いずれ相続人として課税されるかもしれないから。
所有者が死亡した場合、通常は相続人が納税義務者となる。
けれども昨今の空き家ニュースにもなっているように、固定資産の相続登記が行われていない場合には所有者が判明しない時があり、ボロボロの空き家になって周囲に迷惑をかけていたり、固定資産税の徴収に支障をきたしていた。
地方公共団体では所有者特定に多大な労力と時間を今まで使っていたから、その解消のために今回創設されることになった。
未登記がどれだけいるのかわかる結果
国交省では実態把握のために調査をしている。
下記のイメージは平成28年度に地籍調査をした558市区町村における土地所有者の調査結果です。
登記簿上の登記名義人や住所が現状と異なり、住民票や戸籍謄本等による追跡調査を実施した割合と、その結果不明であった割合を示している。
不動産業務の実務上、住所変更未登記や相続未登記はよく見るのだけど、売買登記してないって…ビックリしちゃった数字。
所在不明が4%程いることになるのかしら。
そして相続登記をしていない割合も13.4%程いることになる。
所有者不明土地等に係る固定資産税の課税
①市区町村長は登記簿上の名義人が亡くなった場合、相続登記されるまでの間に相続人に対し、氏名・住所等必要な事項を申告させることができるようになった。届け出義務違反があった場合は罰則があるとのこと。
2020年4月1日以後の条例の施行日以後に現所有者であることを知った者について適用される。
たとえ遺産分割協議が終わってないとしても、所有者が死亡すると相続人に氏名住所を申告しなさいねと通知が届くことになったのです。
②実際には建物などの固定資産を使用しているの人がいるのに、正常に登記されていないから所有者を特定できなかったケースもあることから、調査を尽くしても所有者が明らかにならない場合は使用者を所有者とみなして固定資産税を課税することができるようになる。
このケースは所有者の行方がわからないのに勝手に住んでいたり、行方不明の所有者がその昔住んでもいいっていうからそのままずっと住んでいたというケースや、実は所有者の行方知ってるくせにしらばっくれる人に固定資産税払ってもらおうじゃないかという話かな。
こちらは2021年以後の固定資産税から適用されるよ。
相続登記の専門家は司法書士
相続登記を行わず、相続人が膨れ上がっても司法書士の権限で関係者を遡って調べることができる。
知り合いの司法書士先生だと膨れ上がった相続人は100人以上になり、まとめあげるまで2年を要したと言っていた。
困ったことがあったら相談してみよう。
相続登記をしていない相談体験談
親の不動産の登記をせず、いざ売りたくなった場合相続登記をしないと売れないことは知っているだろうか?
「実家を売りたいのです」ときても本人のものじゃないと売れないのです。
本人じゃない人が売れたら大変な世の中になってしまうよね。
70代の方が兄弟を連れて物件を売りたいと相談にきました。
物件が確かに本人のものかどうか、実務では本人を身分証明書で確認した上で不動産謄本を引っ張って本人のものか確認する。
すると、本人と苗字は一緒だけど名前が違う。
聞くと20年以上前に亡くなった親の名義のままですという。
相続人は何人ご存命ですか?と聞くと4人で全員生きてるともいう。
相続登記していなくても、全員が所有者だから単独では売れませんよ。年齢のこともありますから相続登記したらどうでしょうと提案すると、歯切れが悪い。
家の中のことはデリケートなことだからあまり突っ込まないし弁護士でもないたかが不動産屋に話したくないのはわかるけど、法律をクリアして頂けないと売れないのよね。
売るまでに何とかしますというものの、購入申し込みになってから何とかなっていないのは困るというか、売れないもの売ってるというマルチ商法になってしまう。
結局何度か相談を繰り返したのだけど、まだ解決していません。
今回の税制改正は、空家問題で行政代執行になるのも、固定資産税を徴収できないのも、相続人を探すのに時間もお金もかかるのも税金がからむことだから国も対策に乗り出した話でした。納税の義務って重いですなぁ。